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禅宗と景教 シリーズ24:万法帰一

<◆禅宗と景教 シリーズ24:万法帰一>
挙す、僧、趙州に問う、万法一に帰す、一何れの処にか帰す。州云く、我青州に在って、一領の布衫を作る。重きこと七斤。(碧巌録第45則)
今回は『碧巌録第45則万法帰一』の公案に参じて見ましょう。

万法帰一、一何れの処にか帰す
唐代末期、河北省趙州の観音院に住した趙州従諗禅師(778-897)に、一人の僧が、「すべてのものは一に帰る(万法帰一)というが、その一はどこに帰るのか」と尋ねた。すると趙州和尚は、「わしが青州におったとき、一枚の布衫(麻の衣)を作ったが、その重さは七斤だった」と答えた。
仏教徒は、この世の一切の存在が因縁によって生じ、また因縁によって滅すると考え、宇宙を貫通するこの理そのものを法性と称する。『万法帰一』とは、法性から生起した万象が、再び法性に帰り、寂滅する道理を説いている。
この学僧は、こうした『万法帰一』の道理を承知した上で、「それなら、その一は、法性は、どこに帰するのか」と、理屈などではない、悟りの神髄について趙州和尚に証しを求めた。換言すれば、聖霊のバプテスマを請うたのである。学僧の思いを見抜いた趙州和尚は、洒脱に「青州におったとき、一枚の布衫を作ったが、重さは七斤だった」と答えた。


圜悟録によれば、その後、蒋山禅師に同じ質問をしたものがあったが、蒋山禅師は、「腹がへったら飯を食い、眠くなったら眠る」と答えたと言う。
臨済は、「赤肉団上(しゃくにくだんじょう)に一無位(いちむい)の真人(しんにん)あり。常に汝ら諸人の面門(めんもん)より出入す。未だ証拠せざる者は看よ看よ。道流(どうる)、仏法は手練手管を用いない。あるがままである。大小便をし、寒ければ纏い、腹が減れば食らい、眠くなったら寝るだけだ」と説いている。









イエスの所在は人類共通の公案
ヨハネ福音書は、「初めに言葉(理)があった。言葉は神と共にあった。言葉は神そのものであった。彼(イエス)は初めから神とともにあった。彼から全てのものが生じた。この世に存在するもので、彼から生まれなかったものは何も無い」(ヨハネ1:1-3)と、大宇宙を貫通する言葉が、イエスの実体であることを冒頭で示した後で、全編を通じて十字架に処せられたイエスは一体どこに帰ったのかと言う大公案を提起しているが、最後の晩餐の席で、イエス自身がその謎解きをしている。



仮庵(かりいお)の祭

仮庵(かりいお)の祭が近づいたためひそかにエルサレムに赴いたイエスは、祭も半ばになってから、宮に上って教え始められた。「私は、もうしばらくあなたがたと一緒にいて、それから、私をおつかわしになった方のみもとに行く。あなたがたは私を捜すだろうが、見つけることはできない。」
そこでユダヤ人たちは互いに、「わたしたちが見つけることができないというのは、どこへ行こうとしいてるのだろう。ギリシャ人の中に離散している人たちのところにでも行って、ギリシャ人を教えようというのだろうか。また、『私を捜すが、見つけることができない。そして私のいる所に来ることができない』とは、どういう意味だろう」(ヨハネ7:33-36)といぶかった。
イエスの謎解き

イエスは最後の晩餐において、十字架計画の真意を十二使徒達に次のように説き明かした。
しかし、わたしはほんとうのことをあなたがたに言うが、わたしが去って行くことは、あなたがたの益になるのだ。わたしが去って行かなければ、あなたがたのところに助け主はこないであろう。もし行けば、それをあなたがたにつかわそう。(ヨハネ16:7)
その日には、あなたがたがわたしに問うことは、何もないであろう。よくよくあなたがたに言っておく。あなたがたが父に求めるものはなんでも、わたしの名によって下さるであろう。今までは、あなたがたはわたしの名によって求めたことはなかった。求めなさい。そうすれば、与えられるであろう。そして、あなたがたの喜びが満ちあふれるであろう。わたしはこれらのことを比喩で話したが、もはや比喩では話さないで、あからさまに、父のことをあなたがたに話してきかせる時が来るであろう。その日には、あなたがたは、わたしの名によって求めるであろう。わたしは、あなたがたのために父に願ってあげようとは言うまい。父ご自身があなたがたを愛しておいでになるからである。それは、あなたがたがわたしを愛したため、また、わたしが神のみもとからきたことを信じたためである。 わたしは父から出てこの世にきたが、またこの世を去って、父のみもとに行くのである。(ヨハネ16:23-28)(参照)
最後の説教を終えた後、イエスは弟子たちから少し離れた場所で、さらに次のように神に祈を捧げた。
わたしはもうこの世にはいなくなりますが、彼らはこの世に残っており、わたしはみもとに参ります。聖なる父よ、わたしに賜った御名によって彼らを守って下さい。それはわたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためです。(ヨハネ17:11)
わたしが彼らにおり、あなたがわたしにおり、彼らは完全に一つになり、世界は、あなたがわたしをつかわし、わたしを愛されたように、彼らをお愛しになったことを知るでしょう。(ヨハネ17:23)(参照)
無一物、無尽蔵

中国宋朝(960-1279)の文人政治家蘇東坡(1037-1101)は、「紈素(がんそ)画(えが)かず、意高き哉(かな)、若(もし)丹青(たんせい)を著(つ)くれば二に堕し来る。無一物(むいちぶつ)中、無尽蔵(むじんぞう)、花あり月あり楼台あり」と述べている。
人類が国益や宗派意識を捨て、一旦無一物の境地に立ち返るなら、世界の各国民、各民族、各宗教、そして無神論者も、無尽蔵の利益を見出すにちがいない。


禅宗と景教シリーズ一覧
◆禅宗と景教 シリーズ01:禅宗の起源
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 01:The Origin of Zen Buddhism
◆禅宗与景教 系列 01:禅宗的起源

◆禅宗と景教 シリーズ02:廓然無聖
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 02:Clear and void, no holiness
◆禅宗与景教 系列 02:廓然无圣
◆禅宗と景教 シリーズ03:再活現成
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 03:Spiritual rebirth
◆禅宗与景教 系列 03:再活现成

◆禅宗と景教 シリーズ04:十牛図
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 04:Ten Ox Herding Pictures
◆禅宗与景教 系列 04:十牛图
◆禅宗と景教 シリーズ05:鉄牛の機
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 05:The workings of the Iron Ox
◆禅宗与景教 系列 05:铁牛之机

◆禅宗と景教 シリーズ06:驀直に去れ
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 06:Go straight
◆禅宗与景教 系列 06:蓦直去
◆禅宗と景教 シリーズ07:劫火洞然
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 07:The conflagration at the end of the eon
◆禅宗与景教 系列 07:劫火洞然

◆禅宗と景教 シリーズ08:拈華微笑
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 08:Flower Sermon
◆禅宗与景教 系列 08:拈华微笑
◆禅宗と景教 シリーズ09:両手たたいて商いせん
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 09:Do your business clapping both hands
◆禅宗与景教 系列 09:不如鼓两掌做生意
◆禅宗と景教 シリーズ10:七転八倒
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 10:Writhing in agony
◆禅宗与景教 系列 10:七颠八倒

◆禅宗と景教 シリーズ11:創造の時
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 11:The time of creation
◆禅宗与景教 系列 11:创世的时
◆禅宗と景教 シリーズ12:花婿と花嫁の部屋
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 12:Groom and bridal suite
◆禅宗与景教 系列 12:新郎与新娘套房
◆禅宗と景教 シリーズ13:命の泉
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 13:Spring of water welling up to eternal life
◆禅宗与景教 系列 13:永生的泉源
◆禅宗と景教 シリーズ14:放下着
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 14:Gelassenheit
◆禅宗与景教 系列 14:放下着
◆禅宗と景教 シリーズ15:罪祭の羊Ⅰ
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 15:Lamb of Sin-offeringⅠ
◆禅宗与景教 系列15:赎罪祭的羔羊Ⅰ
◆禅宗と景教 シリーズ16:罪祭の羊Ⅱ
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 16:Lamb of Sin-offeringⅡ
◆禅宗与景教 系列16:赎罪祭的羔羊Ⅱ
◆禅宗と景教 シリーズ17:罪祭の羊Ⅲ
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 17:Lamb of Sin-offeringⅢ
◆禅宗与景教 系列17:赎罪祭的羔羊Ⅲ
◆禅宗と景教 シリーズ18:厩戸皇子Ⅰ
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 18:Prince of Stable Ⅰ
◆禅宗与景教 系列18:厩户皇子Ⅰ
◆禅宗と景教 シリーズ19:厩戸皇子Ⅱ
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 19:Prince of StableⅡ
◆禅宗与景教 系列19:厩户皇子Ⅱ
◆禅宗と景教 シリーズ20:厩戸皇子Ⅲ
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 20:Prince of StableⅢ
◆禅宗与景教 系列20:厩户皇子Ⅲ
◆禅宗と景教 シリーズ21:インモの道
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 21:The way of Suchness
◆禅宗与景教 系列 21:恁么道
◆禅宗と景教 シリーズ22:本来の師
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 22:One's own teacher
◆禅宗与景教 系列 22:本来师
◆禅宗と景教 シリーズ23:身心脱落
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 23:Body and mind will drop off naturally
◆禅宗与景教 系列 23:身心脱落
◆禅宗と景教 シリーズ24:万法帰一
◆Zen Buddhism and Nestorianism Series 24:The myriad things return to one
◆禅宗与景教 系列24:万法归一
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『聖霊のバプテスマ』とは一体何か
ヨハネ福音書の弁証法に従うなら、
【テーゼ】  『人は、人の子の証しを受け入れ、聖霊のバプテスマを受けることにより永遠の命を得られる(ヨハネ5:24)』。
【アンチ・テーゼ】  しかし、『地上の人間は、決して天から来たものの証しを理解できない(ヨハネ3:32)』。
それでは、地上の人間はどうして永遠の命を得られるのか。
【ジン・テーゼ】  『地上の人間は始めに神と共にあった言葉(ヨハネ1:1)に立ち返り、神が全き真理であることを自ら覚知すればよい(ヨハネ3:33)』。
文益禅師は「お前は慧超だ」と答えることにより、慧超自身の内に秘められた『真の自己(声前の一句)』を突きき付けたのである。(キリスト教の起源p.155)
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【参照】
碧巌録第45則 万法一に帰す、一何れの処にか帰す
挙す、僧、趙州に問う、万法一に帰す、一何れの処にか帰す。州云く、我青州に在って、一領の布衫を作る。重きこと七斤。
無位の真人(臨済録)
赤肉団上(しゃくにくだんじょう)に一無位(いちむい)の真人(しんにん)あり。常に汝ら諸人の面門(めんもん)より出入す。未だ証拠せざる者は看よ看よ。道流(どうる)、仏法は用巧(ゆうこう)の処無し。祗(ただ)是れ平常無事、あ屎送尿(あしそうにょう:大小便)、著衣喫飯(じゃくえきっぱん)、困し来たれば即(すなわち)臥す。愚人は我を笑う、智は乃(すなわ)ち焉(これ)を知る。古人云く、外に向かって工夫を作す、総に是れ癡頑(ちがん)の漢(かん)、と。汝、且(しばら)く随処に主となれば、立処皆真なり。境来れども回換(えかん)することを得ず。縦(たとい)従来の習気(じっけ:過去の煩悩の余習)、五無限の業無限地獄に堕ちるべき罪業有るも、自ら解脱の大海と為る。
人は皆、無位(自由無碍)の真人を保持しており、面門(眼、耳、鼻、口、毛穴等)より出入りしている。諸君、仏法は手練手管を用いない。あるがままである。大小便をし、寒ければ纏い、腹が減れば食らい、眠くなったら寝るだけだ。愚人は笑うが、智者はそこのところが分かる。古人も述べているように、外に向かって工夫をこらすのは愚の骨頂だ。外境は換えられないが、随所に主となれば、立処みな真となる。そうすることができるなら過去の煩悩の余臭紛々とし、無限地獄に堕ちるべき悪行の限りを尽くした者でも、解脱の大海に遊ぶことができる。
趙州/臨済系図

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