躓きの石(シオニズム)-その2
万軍の主、この方を、聖なる方とし、この方を、あなたがたの恐れ、この方を、あなたがたのおののきとせよ。そうすれば、この方が聖所となられる。しかし、イスラエルの二つの家には妨げの石とつまずきの岩、エルサレムの住民にはわなとなり、落とし穴となる。多くの者がそれにつまずき、倒れて砕かれ、わなにかけられて捕えられる。(イザヤ8:13-14)
だから、神である主は、こう仰せられる。「見よ。わたしはシオンに一つの石を礎として据える。これは、試みを経た石、堅く据えられた礎の、尊いかしら石。これを信じる者は、あわてることがない。(イザヤ28:16)
自治政府、国連多数派工作に拍車
イスラエルとの和平交渉が進捗を見ぬ中、パレスチナ自治政府のマハムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長(ファタハ)は、対立するハマスの最高指導者ハレド・メシャール(Khaled Meshaal)氏とカイロで歴史的な和解合意を結び、今年9月の国連総会でパレスチナの独立と加盟を求めるための多数派工作に乗り出した。
これに伴い、パレスチナ解放機構(PLO:Palestine Liberation Organization)は、ファタハとハマスの連合組織に改組した後、暫定政府を樹立、1年以内に総選挙を実施することを目指す。
今回のファタハとハマスの和解は、エジプトが仲介したとされるが、中東ではハマスを支持するシリアのアサド政権が動揺する一方、ハマスを嫌うエジプトのムバラク政権が退陣し、政治外交力学上の大きな変化が生じつつある。
究極の救済策
イスラエルが占有する領土全てを含めた全パレスチナに、イスラム教徒、キリスト教徒などからなるパレスチナ人と、ユダヤ教徒が共存する民主的・非宗教的な独立国家を樹立することを目指すPLOの目標は、2000年前にイエスがサマリヤの水くみ女に与えた回答そのものであり、パレスチナとイスラエルのみならず、全人類を躓きの石の試煉から解放するものと見られる。
シオニズムはパン種
シオニズムは決してユダヤ教徒の専売品ではなく、またシオニズムそのものは、善でも、悪でもない。人の心の内に潜むパン種のようなもので、善にもなれば悪にも変わる。そこでイエスは「パリサイ人とサドカイ人とのパン種を、よくよく警戒せよ」(マタイ伝16-6)と言われたのである。
インド、中国、ロシア、欧州、米国、日本を含む世界各地で、イスラム教、ヒンドゥー教、シーク教、ラマ教、キリスト教、仏教徒のシオニストがそれぞれの王国建設を目指し、数千年にわたり攻防を繰り返して来た。アーリア人至上主義を唱えたナチス・ドイツや天孫族の後裔を自負する日本民族の軍事拡張も、その例外ではない。
究極の愛
人々を苦厄から解放するはずの宗教が、例え同じアブラハムの子孫の間においてさえ対立感情を生み、抗争を生じさせることをサマリヤの水くみ女から教えられたイエスは、十字架刑に処せられる前夜、弟子たちに向かって「最早、喩えを用いることは止め、神そのものについて語って聞かせよう(ヨハネ伝16:25)」と前置きして、「自分の教えの神髄はアブラハムはおろかアダムとイブ以前に神と万物が未分の時に立ち返り、自分が神と共有していた究極の愛と栄光を、またその至福を分かち合うことにある(ヨハネ伝16-17)」と説き明かした。
サンド教授の苦諫
イスラエルは、なおしばらくその立場を改めることはないだろうが、少なからぬユダヤ人がすでにこのことに気づき初めているようだ。
テルアビブ大学人文学部歴史総科のシュロモー・ザンド教授はその著『ユダヤ人の起源』の最後に「100年に及ぶ紛争を解決し、ユダヤ人とアラブ人の複雑に混交した現状を維持する理想的な方法は、地中海とヨルダン川に挟まれた地域に民主的な二民族共存国家を建設することである。--中略--仮にユダヤ系イスラエル人に自分たちの国を精算するよう期待するのが非常識だとすれば、少なくとも、自分たちのために、自分たちが好ましくない外国人と見なす大多数の市民を隔離し、除外し、差別するような政治形態を維持することだけは止めさせねばならない。」と述べている。(回光庵返照:2011年5月18日)
『聖霊のバプテスマ』とは一体何か
ヨハネ福音書の弁証法に従うなら、
【テーゼ】 『人は、人の子の証しを受け入れ、聖霊のバプテスマを受けることにより永遠の命を得られる(ヨハネ5:24)』。
【アンチ・テーゼ】 しかし、『地上の人間は、決して天から来たものの証しを理解できない(ヨハネ3:32)』。
それでは、地上の人間はどうして永遠の命を得られるのか。
【ジン・テーゼ】 『地上の人間は始めに神と共にあった言葉(ヨハネ1:1)に立ち返り、神が全き真理であることを自ら覚知すればよい(ヨハネ3:33)』。
文益禅師は「お前は慧超だ」と答えることにより、慧超自身の内に秘められた『真の自己(声前の一句)』を突きき付けたのである。(キリスト教の起源p.155)
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