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禊(みそぎ)

回光返照
人は死に臨み、最早これまでと覚った時、現世のしがらみから解放され、それまでどうしても理解できなかったことが見えて来ることが あるようだ。
中国人はこうした生命現象を、夕日の反射作用により、空が一時的に明るくなる自然現象に喩え古来『回光返照』と称して来た。
禅堂で師家が学人に現世の一切の煩悩を裁ち切るために「大死一番」するよう勧めるのもこのためと見られる。
水と霊による再生
イエスもニコデモと言うパリサイ人に対して「だれても生まれ変わることなしに、神の国を見ることはできない」(ヨハネ3:3)、「水と霊により生まれ変わることがなければ、神の国にはいることはできない」(ヨハネ3:5)と説いている。

イエスは、ヨルダン川においてヨハネにより洗礼を受けた際の霊性的体験を語られたものと見られる。マタイ伝にはその時の様子を「イエスはバプテスマを受けるとすぐ、水から上がられた。すると、見よ、天が開け、神の御霊が鳩のように自分の上に下ってくるのを、ごらんになった」(マタイ3:16)と描写している。この時、イエスは旧約聖書創世記冒頭に描かれている「初めに, 神が天と地を創造した。地は形がなく、何もなかった。やみが大いなる水の上にあり、神の霊は水の上を動いていた。」(創1:1-2)と言う光景を目の当たりにし、太初において神と一体であった自己に目覚めたのだろう。そこでニコデモに対して「あなたも天地開闢以前の原初に戻って、水と霊により生まれ変わらねばならない」と説かれたものと見られる。
霊的再生が神の国へのパスポート
イエスはニコデモにさらに次のように諭された。「肉から生まれる者は肉であり、霊から生まれる者は霊である。あなたがたは新しく生まれなければならないと、わたしが言ったからといって、不思議に思うには及ばない。風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞くが、それがどこからきて、どこへ行くかは知らない。霊から生まれる者もみな、それと同じである。」(John 3:6-8)
マイスター・エックハルトの無私の魂

ドイツの中世の神学者マイスター・エックハルトも、以下のようなことを述べている。『霊に飢えた心の貧しいものは全ての霊を受け入れることができる。神とは霊中の霊である。霊の果実は愛と喜びと睦まじさである。人間に関するいっさいのものを剥ぎとらなければ、神に近づくことはできない。人間から慰めを得ているようでは、神の真の慰めを認めることはできない。神のみに慰めを得ようとする時、神はまことに慰めを与えて下さる。あなたが望めば、一切の事物も神も、あなたのものになる。あなた自身と一切の事物とを、あなた自身のもとにあるあなたの一切を、捨て去りなさい。神は無私な純粋さと統一を愛しておられ、無私な魂に魅かれておられる。』
領有権/経済権益紛争解決の道
日中韓の竹島/尖閣島嶼領有権紛争は、経済水域、漁業権、石油資源と言った利権が絡むことにより、一層錯綜し、日本にしろ、中国や韓国にしろ政治指導者は処理を誤れば政治生命ばかりでなく、正しく命も失いかねない抜き差しならない羽目に立たされている。さればこそ政治家のみならず、国民的レベルでの回光返照が求められる。三国による歴史の共同研究は一つの明るい兆しと言えるかも知れない。(回光庵返照居士:2005/07/02)

『聖霊のバプテスマ』とは一体何か
ヨハネ福音書の弁証法に従うなら、
【テーゼ】  『人は、人の子の証しを受け入れ、聖霊のバプテスマを受けることにより永遠の命を得られる(ヨハネ5:24)』。
【アンチ・テーゼ】  しかし、『地上の人間は、決して天から来たものの証しを理解できない(ヨハネ3:32)』。
それでは、地上の人間はどうして永遠の命を得られるのか。
【ジン・テーゼ】  『地上の人間は始めに神と共にあった言葉(ヨハネ1:1)に立ち返り、神が全き真理であることを自ら覚知すればよい(ヨハネ3:33)』。
文益禅師は「お前は慧超だ」と答えることにより、慧超自身の内に秘められた『真の自己(声前の一句)』を突きき付けたのである。(キリスト教の起源p.155)
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【参照】
回光返照
眼光を外から内に向け、内観を通じ『物我相忘れ、天地と同根、万物と我と一体(肇法師の偈)』の自己(聖霊)に目覚めること。
普勧坐禅儀
所以に須らく言を尋ね語を逐うの解行を休すべし。 須らく回光返照の退歩を学すべし。身心自然に脱落して、本来の面目現前せん。 恁もの事を得んと欲せば、急に恁もの事を務めよ。

臨済録
問う、如何なるか是れ西来意(ダルマがインドからはるばる中国にやって来た意味は何か)。
師いわく、もし意あらば自救不了(じぐふりょう。自分を救うこともできない)。
いわく、すでに意無くんば、いかんが二祖、法を得たる。
師いわく、得というは是れ不得なり。
いわく、もし不得ならば、いかんが是れ不得底の意。
師いわく、汝が一切処に向かって馳求の心やむこと能わざるが為なり。ゆえに祖師言う、『咄哉(とつさい)丈夫、頭をもって頭をもとむ』と。汝、言下にすなわち自ら回光返照して、さらに別に求めず、身心の祖仏と別ならざるを知って、当下に無事なるを、まさに得法と名づく。
大死一番
『大死一番、再(or大)活現成』、『懸崖に手を撒して絶後に蘇る』は禅堂における常套語。碧巌録には、「趙州、投子に問う、『大死底の人却活する時如何。』投子いわく『夜行を許さず。明を投じて到るべし。」と言う一則(第四十一則)がある。
水と霊による再生
「水と霊により生まれ変わる」霊性的体験は神道の「禊ぎ」に通じるものがある。
マイスター・エックハルト
ドイツの神学者(1260頃~1327)。ドミニコ会士。ケルンで神学を学び、パリ大学神学部、ストラスブルク、ケルン等で神学を講じ、説教家としても活躍、多くの修道院の建設に尽力、パリにてマギステルの称号を得るが、汎神論者の嫌疑で告訴され、未決中に没。
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