SEAnews 1997-03-06 ArtNo.9634

【クアラルンプル】マレーシア政府と三菱の自動車合弁事業(ﾌﾟﾛﾄﾝ)や重工業公社Ｈｉｃｏｍの民営化を通じてマレーシアの自動車王の座を射止め、内外の注目を集めた若手ブミプトラ実業家のヤハヤ・アハマド氏が、3日夜夫人と共に搭乗していたヘリコプターがパハン州上空で墜落、急死した。
ＤＲＢ－Ｈｉｃｏｍ企業王国を率いるヤハヤ氏の急逝はマレーシア政財界に衝撃を与えたが、ペラ州クアラ・カンサルのマレー・スクールで共に学んだ学友のアンワル副首相は、「ヤハヤはマレーシアが誇りとする優秀な企業家で、その死は自分にとっても、国家にとっても大きな痛手」と述べるとともに、「政府はヤハヤ旗下の企業グループの計画を引き続き支持するため、投資家は冷静を維持するよう望む」と語った。
アンワル副首相とヤハヤ氏は事故の当日クアラルンプル市内で催されたマレー・スクールの同窓会に出席した。宴会終了後ヘリコプターでトレンガヌ州の病気の母親の見舞いに赴くヤハヤ夫妻に、副首相は夜の飛行は危険と忠告したが、ヤハヤ夫妻は予定通り飛び立った。その後副首相は午前1時に訃報を伝えられたと言う。
民間航空局スポークスマンによるとヤハヤ氏のヘリコプターは3日午後10時45分に離陸後、11時15分に管制塔との連絡を断ち、予定の時刻になっても目的地到着せぬため、捜索が開始された。その結果、ヤハヤ夫妻および操縦士の遺体がヘリの残骸とともにパハン州クアラ・リピス南部で発見された。
ヘリは事故現場の3000メートル上空で旋回後、急降下、高度2000メートルに達した時点でレーダーから機影が消失した。現地の目撃者によるとヘリは上空で爆発し、墜落後さらに2度爆発音が耳にされたと言う。
事故にあったイタリヤ製Agusta A 109Eは、先月ＤＲＢ－Ｈｉｃｏｍ傘下のガデ社に引き渡されたばかりの新型機で、世界的にも40機が運航に供されているだけ。同機が墜落事故を起こしたのは今回が初めてと言う。同機はブラック・ボックスも装備していなかったもようだが、アンワル副首相は、記者会見の席上、ヤハヤ夫妻が暗殺された可能性はないと語った。(NST,MBT,STAR,ST,BT,LZ:3/5)