SEAnews 1997-02-25 ArtNo.9511

【シンガポール】ウエハー・ファブリケーション(ﾌｧﾌﾞ)ビジネスにも値下げ競争が波及したことから、チップ業界の市況回復は更に遅れそうだ。業界関係者や観測筋は今年はウエハーが平均30％値下がりすると予想するとともに、1998年まで市況の回復は期待できないと見ている。
価格戦争は2週間前に台湾のユナイテッド・マイクロエレクトロニクス・コープ(UMC)がライバルのタイワン・セミコンダクター・マニュファクチャラーCo(TSMC)に対抗して50％の値下げを発表したことにより表面化した。ＴＳＭＣは1月に25％の値下げを行っており、両社だけで、ファブ市場の40％のシェアを占めている。その後シンガポール企業チャータード・セミコンダクター・マニュファクチュアリング(CSM)の米国駐在幹部はエレクトロニク・バイヤーズ・ニュース(EBN)に対して、ＣＳＭも値下げの動きに対応措置を採ると語った。同幹部はまた1997年一杯設備過剰が持続、全体として30％の値下がりが生じると見通している。ＣＳＭのシンガポール・オフィス幹部はＢＴ紙のインタビューに対して「ＣＳＭが一方的に値下げを発表することはなく、ケース・バイ・ケースで対応する」と述べ、また30％は最悪のケースと指摘した。
8インチ・ウエハーに取って代わられつつある6インチ・ウエハーが最も深刻な影響を受けており、同製品は設備過剰から昨年だけで25％の値下がりを見た。某アナリストは生産効率のアップと競争者の増加から供給過剰はさらに深刻化し、値下げ圧力も高まると予想する。ＥＢＮは、6インチ・ウエハーの出荷価格は先月だけで600米ドルから300～400米ドルに下降したと報じたが、ＣＳＭの先の幹部は同報道は誇張されており、6インチ・ウエハーは今でも約600米ドルで売られていると語った。同氏によればファブ・ビジネスの見通しは長期的には依然明るく、市場規模は1995年の50億米ドルから2000年の196億米ドルに拡大する。また今年下半期には依然設備過剰が続くが、需要は回復、同回復基調は1998年を通じて持続する。このため1999年は最盛期を迎え、再び品不足が生じる見通しと言う。
業界アナリストらは、非メモリ・チップ・ビジネスは下降線の一途を辿っており、ＤＲＡＭチップ価格はやっと値下がりが止まったところで、市況回復は予想よりも6ヶ月遅れそうだとしている。リーマン・ブラザーズの香港拠点のアナリストは、今年の世界チップ産業の成長率を10～12％と予想した。(BT:2/24)