SEAnews 1997-01-24 ArtNo.9148

【シンガポール】シンガポールのコミュニケーション／メディア産業のビジネス支出は昨年51％増加し、4億Ｓドルに達した。
経済開発局(EDB)が22日発表したところによれば、同部門のビジネス支出は一昨年は77％の成長を見たが、この種の高度成長は長期的に維持できない。しかしながら同部門の市況も域内経済動向も依然良好なことから今年は少なくとも15％の成長が見込める。昨年はまた1400人の新規就業機会が創出され、固定資本投資は4億6000万Ｓドルを記録した。
コミュニケーション／メディア産業の中でも、放送／オンライン・サービスのビジネス支出は最大で前年比44％増の1億7300万Ｓドルを記録した。同部門のビジネス支出の増加は競争過熱に伴う料金低下でインターネットの利用が拡大したことが挙げられる。またロイター社がその主要業務を香港からシンガポールに移転したことによりオンライン・サービスが大きな成長を遂げた。現在シンガポールには放送会社19社がオフィスを構えている。
一方、コンテント・クリエイター(印刷出版/ﾏﾙﾁﾒﾃﾞｨｱ/TVﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｻｰ)のビジネス支出は前年比76％と最高の伸びを見、7900万Ｓドルを記録した。こうした成長はアジア大平洋地域におけるマルチメディアＰＣ(ﾊﾟｿｺﾝ)や衛星／ケーブルＴＶの普及により牽引された。
テレコミュニケーション／ＩＴ企業のビジネス支出は48％増の1億4700万Ｓドルで、同部門の成長はケーブル＆ワイヤレス、ネットスケープ、キャップ・ジェミニ、ＳＡＰ等が地域本部をシンガポールに移転したことにより促進された。
以上の3領域は相互に重なり合っており、今後益々多くのタイトルがこれらの3領域で同時に、あるいは相前後して制作されるものと見られる。またマレーシアのマルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)事業等で域内の競争は過熱するが、シンガポールは既にインフラや奨励措置の基礎を築いており、今後も引き続き優勢を維持できる見通しと言う。(ST,BT,LZ:1/23)