1997-01-22 ArtNo.9119
◆<星>昨年の電子産業成長率、過去5年来最低の9%に
【シンガポール】シンガポールの昨年の電子産業生産は631億Sドルと、1991年以来最低の前年比9%の成長にとどまった。同部門は一昨年は19%の成長を記録していた。
経済開発局(EDB)が20日発表したところによれば、データ記憶装置部門とオフィス自動化機器部門が電子業界の成長を支えた。ディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、CD-ROM等から成るデータ記憶装置部門は29%成長、生産額は1830億Sドルに達した。これにはシーゲートの1億3500万Sドルの新工場やホヤ・マグネチクスの1億4000万Sドルのディスク・メディア工場の稼働も部分的に貢献した。
またプリンター、スキャナー、カラー・コピヤ等のオフィス自動化機器部門の生産は40%増の54億Sドルに達した。多様な新製品の登場と値下がりが需要を喚起し、成長を牽引した。
世界的なコンピューター・チップ市場萎縮の影響を受け、半導体部門の生産は121億Sドルと、一昨年の53%の伸びとは対照的な3%の微増にとどまった。DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)チップの75%の値下がりが同部門の不振の一因とされている。しかし半導体原料のウエハーの製造は30%の成長を見た。
EDBが3Cセクターと称するコンピューター、コンシュマー・エレクトロニクス、コミュニケーション部門は5%のマイナス成長を記録、電子部門全体の足を引っ張った。消費用電子部門の生産は20%減の50億Sドルにととまり、最大の落ち込みを記録した。同部門では投資対象や製造拠点のシフトが見られ、一部の企業は通信機器市場に進出したが、こうしたシフトの効果は今年から来年にかけて目にされる見通しだ。
向こう数年間には固定資産投資が顕著に拡大するものと見られ、今年は1、2の新規ウエハー製造計画が発表される見通しだ。EDBは必要なら共同出資に応じると言う。昨年の固定資産投資約定額は30%増の33億Sドルを記録、29億Sドルの付加価値生産と5370人分の新規就業機会の創出が見込まれている。
電子市況の先行きに関しては記憶装置部門が楽観的なのに対して、半導体企業は1998年まで回復は期待できないが、全体としては1997年の市況は1996年よりもかなり改善される見通しと言う。(ST,BT,LZ:1/21)
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