SEAnews 1997-01-10 ArtNo.8973

【シンガポール】インテル・コーポレーションが8日、マルチメディア機能を装備したペンティアム・マイクロプロセッサＰ55Ｃを発表したことから、観測者らは、ＭＭＸと通称される同新製品が、果たしてマルチメディア企業に脅威を及ぼすのか、及ぼすとすればどの程度の脅威かに注目しているが、シンガポールのクリエイティブ・テクノロジーは同日直ちに声明を発表、脅威説を否定した。
クリエイティブのシム・ウォンフー会長はその声明の中でＭＭＸは同社のサウンド・カードに取って代わることはなく、ＰＣ(ﾊﾟｿｺﾝ)ユーザーは両者をコンバインすることにより、より多彩で、印象的なマルチメディア効果を体験できるとしている。クリエイティブの米国拠点のマルチメディア製品担当副社長ホック・リョー氏はＢＴ紙のインタビューに対して「目下ＭＭＸの機能を有効に汲み取るドライバの開発を進めており、新製品は年内に発売される」、「今後ＭＭＸをサポートした新製品を続々発表する」と語った。それによると、ＭＭＸは同社のサウンド・ブラスターに全く脅威を及ぼさないばかりか、サウンド・ブラスターが処理せねばならなかったベーシックな機能を代行してくれるため、同社としてはコストをカットし、より多彩な製品を開発できる。ＭＭＸだけでは決してサウンド・ブラスターに代わるような音響効果を発揮することはできない。この点が最も重要でユーザーは一層のウェイブ効果や3Ｄオーディオ効果を望んでいると言う。
しかし米国技術調査会社データプロの幹部は「ＭＭＸチップは値段に敏感なホーム・バイヤーの要求を十分満たすマルチメディア機能を備えており、クリエイティブが目下支配する市場の大部分もこの種のホーム・バイヤーが占めている」とし、クリエイティブが深刻な打撃を受けるものと予想した。一方、市場調査会社データクエストのアナリストは「クリエイティブ等のマルチメディア企業に対するＰ55Ｃの影響は短期的にはそれほど大きくないが、これらのマルチメディア企業が法人市場を開拓するのは益々困難にならざるを得ない。何故なら大部分の企業の需要はＭＭＸだけで十分満たされるから」と指摘した。(BT:1/9)