SEAnews 1995-03-17 ArtNo.890

【シンガポール】シンガポール政府は現金準備に上限は設けておらず、今後も引き続き拡大を図る方針だ。
リチャード・フー蔵相は15日、「58億Ｓドルの黒字を見込む新年度予算案は、税の過剰徴収を意味するのではないか。政府財政の大幅黒字は、民間資金を枯渇させ、長期的に経済の活力を失わせる」との与党議員の質問に対して以上の立場を明らかにした。それによると、好況の際にできるだけ黒字を積み上げるのは政府の基本政策である。仮に税負担が過大なら、高金利、資産価値の下降、経済成長の鈍化、インフラ投資の低迷等の現象が生じるはずだが、実際には過度な高度成長や賃金インフレが懸念されている。シンガポールの現金準備は確かに隣国のそれを上回っているが、石油、ガス、木材、広大な国土等、隣国が有する資源を何一つ保持せぬシンガポールは如何なる国よりも現金準備を必要とする。また予算黒字が生じたのは85－86年のリッセッションを克服した90年以降のことで、86、87年には赤字、88、89年はほぼ均衡状態にあったと言う。(ST:3/16)