SEAnews 1996-12-23 ArtNo.8863

【シンガポール】製造業の健康状態を占うバロメーターとされる国産非石油製品輸出は11月に昨年同月比8.8％の予想以上に大幅な落ち込みを見た。
貿易開発局(TDB)が20日発表したところによれば、11月のデータ処理機器輸出は10月の24億Ｓドルから22億Ｓドルに、機械部品輸出は9億7300万Ｓドルから9億6900万Ｓドルに、半導体輸出は12億2000万Ｓドルから11億5000万Ｓドルに、それぞれ下降した。中継貿易基地としてのパフォーマンスの基準とされる再輸出も10月の7.3％増から4.1％のマイナス成長に後退した。ディスク・ドライブ、タバコ、時計(ﾃﾞｼﾞﾀﾙを除く)、テレビ、ラジオ、自動車部品の再輸出は僅かながら増加したものの、集積回路(IC)、コンピューター部品、コンピューター周辺機器、その他の電子部品の再輸出は下降した。
国産石油製品輸出は国際価格の25％上昇や欧米の厳冬に助けられ29.2％の増加を見た。輸入は1％増の159億Ｓドルで、輸入から再輸出を引いた純輸入は前月比0.8％の増加を見た。純輸入は製造業界の半年乃至1年後の輸出動向を占う指標とされる。また10月には3.3％の微増を見た往復貿易も、11月には1.4％下降した。
エコノミストらは11月には国産非石油製品輸出の4％程度の落ち込みを予想していたが、実際の数字はこれを遥かに上回った。国産非石油製品輸出が10月に4.8％のプラス成長を回復したことから、最悪の時期は終わり、景気は回復基調を取り戻したと期待されていた。ＨＧアジアのアナリストは、「景気の回復は見たところ不安定で、電子業界は依然ボトムを徘徊しているようだ」と語った。しかしVickers Ballasのアナリストは、「回復基調にあることに変わりない。10月の数字が過度の楽観を保証しないのと同様に、11月の数字を過度に悲観する必要はなく、かなり凹凸の激しい回復の道を歩んでいるだけだ」と指摘した。(ST,BT,LZ:12/21)