1996-12-18 ArtNo.8803
◆<星>ディスク・メディア産業、2年内に設備過剰に
【シンガポール】ディスク・メディア業界がその拡張計画を実行すれば、整備過剰に陥り、値下げ競争と利益率の下降で、一部の企業は向こう18ヶ月間に市場から撤退せざるを得ない見通しだ。
国際ディスク・ドライブ装置・材料協会が16日主催した朝食会でトレンドフォーカスのマーク・グリーン重役(MD)が語ったところによると、設備過剰が予想されるにも関わらず、大部分の企業は拡張計画を実行する見通しで、1998年までに28億米ドルの生産能力が追加される。生産能力は今年の57%増に続き、来年も40%の成長が見込める。これに対して昨年の需要の伸びは35%を超えなかったものと見られ、2000年まで年率21%の成長が見込まれるに過ぎない。
マーケット・リーダーのコマグは7億5000万米ドルを投じ、1999年までに製造能力を3倍に拡大する。向こう2年間の他社の投資計画を見ると、シーゲート5億米ドル+、富士電機5億米ドル+、三菱化学2億5000万米ドル+、HMT2億米ドル+、その他6億米ドル+となっている。現在の市場シェアはコマッグ31%、富士電機12%、昭和電工10%、MCC10%、HMT10%、Akashic8%、ホヤ8%、ストーメディア8%、その他3%で、今後生存に最低必要なシェアは10~15%と見られる。シンガポール政府はディスク・メディア企業10社の誘致を目指しており、既に4社(シーゲート/ホヤ/ストーメディア/三菱化学)が工場を設けているが、シーゲート、ウェスタン・デジタル、マクスター等のディスク・ドライブ(HDD)メーカーもメディア工場を既に保有、もしくは保有を計画している。メディア業界が直面するもう1つの問題は、HDD市場をリードするシーゲートが1997年6月までに必要とする80%のメディアを自社生産することを目指していること。今年9月時点で同社は既に50%のメディアを社内で製造している。しかしながらメディア業界の受難時代は、HDD業界にとっては原料の安価な調達を可能にし、朗報と言う。(BT:12/17)
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