1996-12-09 ArtNo.8681
◆<星>宅地放出続行、一層の投機抑制措置は不要:副首相
【シンガポール】政府は、住宅市況の過熱抑制措置が奏功し、市況が鎮静、価格も下降に転じたことから、一層の抑制措置は採らないが、宅地供給は既定方針通り続ける。
リー・シエンロン副首相は6日催されたシンガポール不動産開発業者協会(REDAS)の年次晩餐会の席上、以上の政府方針を示すとともに「市況が変化したなら政府が計画を放棄すると期待すべきではない。政府は一旦発表した方針は必ず実行するため、開発業者は計算を綿密に立てるべきだ」と警告、「もし政府が発表した計画を中途で放棄するなら、誰も政府発表に重きを置かなくなる」と付言した。
今年5月に「来年は7000~8000戸分の宅地を放出する」と発表した政府は、先月「来年の放出量は7000戸分になる」と改めて確認した。リー氏はこの点に関して「市況が鎮静したため、当初計画の下限になっているが、依然として計画の範囲内であり、政府は公約は必ず実行する」と強調した。
同相によれば、市況抑制措置にはリスクが伴い、政府の措置に市場がどのように反応するかは予測しがたい。仮に反応が予想以上なら、市況が崩壊する恐れも有る。しかし市況過熱を傍観するリスクは更に大きいことから、政府は投機抑制策の導入を決めた。投機活動を放置すればバブルを生じさせ、バブルの崩壊は金融業や他の経済活動にも深刻な打撃を与える。
政府は市況の周期的変化を阻止したり、価格動向を左右することはできないが、市場メカニズムの健全な機能を確保する必要が有り、度を過ごした投機活動が行われていると判断されれば、これに干渉する。とは言え住宅不動産は一種の長期的投資対象で、投機を完全に防止することはできない。また適度な投機活動は、土地利用の効率化を促す潤滑剤の役も果たすと言う。(ST,BT,LZ:7/12)
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