1996-11-07 ArtNo.8292
◆<星>政府、今年のGDP成長予測を6%に下方修正
【シンガポール】シンガポール政府は第3四半期の国内総生産(GDP)成長率が過去10年来最低の3.2%に落ち込んだことから、今年の年間成長率を6%に再度下方修正した。また、来年も中期的成長目標の6~8%をやや下回る5~7%になると予想している。
リー・シエンロン副首相が5日催された第1回インターナショナル・トレード・アワード(ITA)の授与式で明らかにしたところによると、現在のGDP成長率の減速は国内経済の構造的問題というより対外需要の周期的減退による。例えば、シンガポールは今年1~9月に64億Sドルの投資を誘致しており、経済開発局(EDB)は、通年では当初の目標の75億Sドルを上回る過去最高の80億Sドルに達するものと見ている。成長率の減速は製造業、なかでも製造業の44%を占める電子産業の不振による。シンガポール経済の再編は着実に進んでおり、生産性の伸び率は近年、年率3~4%に達している。この結果、単位労働コストはSドル・ベースでは安定を維持しており、単位事業コストも1993年以来わずか4.2%の上昇にとどまっている。同相は、電子産業の不振がすでに底入れしたとの業界の予測も引用、日米経済が穏やかな成長を遂げ、他のNIEs諸国も緩やかながら健全な成長を維持すると予想されることから、現在の成長減速が遠からず快方に向かう兆しも見えると指摘した。しかし厳しい状況が続く小売業界については、小売スペース1000平米当たりの売上が1991年の820万Sドルから昨年の690万Sドルに低下したことを上げ、店舗が増加する一方でそれに見合う購買力の増加が見られないと語った。(ST,BT,LZ:11/6)
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