SEAnews 1996-10-22 ArtNo.8084

【シンガポール】シンガポールは、ディスク・ドライブ(HDD)市場におけるそのシェアを徐々に縮小させるものの、引き続き主要プレーヤーの地位を維持し続ける見通しだ。
シンガポールのＨＤＤ出荷量の世界生産に占める比率は1989年の50％強から91年の50％、昨年の45％と、下降線を辿っている。業界プレーヤーも観測筋もシンガポールのＨＤＤ生産は世界生産の拡大とともに成長し続けるものの、こうした成長は設備拡張よりも生産性の向上を梃子にしたものになると見ている。経済開発局(EDB)のフィリップ・ヨー会長によれば、今年シンガポールで生産されるＨＤＤの60％は1ＧＢ(ｷﾞｶﾞﾊﾞｲﾄ)以上で、昨年の27％から大幅に拡大する見通しだ。ＥＤＢはＨＤＤ生産額は今後も年率10％以上の成長を遂げるものの、就業者数は現在の3万3000人の水準を維持、もしくは多少増加するに過ぎないと予想している。ＨＤＤは斜陽産業と指摘する向きもあるが、技術の複雑化に伴い益々大容量の記憶媒体が必要とされることから、データ・クエストのアナリストは、価格的にもこれに取って代わりうる新技術が登場しない限り向こう10年以上にわたりＨＤＤは主要な役割を演じ続けると予想する。とは言え過去数年間に周期的な業況の変動を体験したシンガポールの部品サプライヤーらは顧客ベースの拡大に努め、ＨＤＤ産業への依存軽減を図っている。(BT