SEAnews 1996-10-18 ArtNo.8041

【シンガポール】シンガポールの小売り市況の不振は今世紀一杯続き、2000年以前の回復は期待できない。
観測筋は、こうした悲観的な見通しの根拠として、小さな国内経済では支え切れない小売りスペースの膨張、同じ客層をターゲットとする大型店の域内における急速な増加、シンガポール・ドル(Sﾄﾞﾙ)の強化等を指摘する。ＨＧアジアのアナリストは今世紀中は、こうした大勢を転換するような市況の回復は望めないと語った。シンガポール小売業者協会(SRA)のテー会長は、「構造的問題が解決されない上、最近の国内景気の後退で、消費者は益々慎重になっている」と指摘した。テー氏によれば、構造問題には国民消費の成長を上回る小売りスペースの拡大が挙げられる。昨年の小売りスペースの増加率は11.9％と、小売り販売(自動車を除く)の増加率3.1％のほぼ4倍に達した。1992年末から昨年末までに小売りスペースは38％増加したが、昨年末から1999年末までには更に30％、540万平方フィートの増加が見込まれている。西友ウィン・オンのタカキ重役(MD)は「同業者の倒産も生き残った者の幸運にはつながっていない」と嘆息したが、Ｍ.Ｂ.ムルワニのアショック・ムルワニ重役(CEO)は「新参者が倒産者の穴を埋めている以上、生き残った者の状況が改善するには更に多くの倒産者が出る必要がある」と指摘した。(ST:10/17)