SEAnews 1996-10-12 ArtNo.7965

【シンガポール】シンガポールのホテル業界は客室の過剰供給が顕在化する中で今年初8ヶ月の旅行者の伸びが2.4％に鈍化したことから、業況の一層の悪化が予想されている。
年初8ヶ月の旅行者の伸び率は市場観測者の平均的予測値5～6％を大きく下回っており、観光局(STPB)の今年通年の最低目標3％の実現も困難になってきた。これに対してＳＴＰＢの資料ではホテル客室数は来年は7％増の3万1720室、1998年は11％増、1999年のそれは3万6311室に達する見通しだ。これまで当地ホテルの客室稼働率は一般に80％を上回るレベルを維持してきたが、今後はそれも難しく、証券業界のアナリストは98年には今年の予想稼働率82％から75％前後に落ち込むものと予想している。このためユニオン・バンク・スイッツランドは客室料金も今年の146Ｓドルから1998年には140.2Ｓドルに下降すると予想、ケイ・ヒアン・ジェームズ・ケーペルは120Ｓドルを予想している。
ホテル業界にとってもう1つの困難な問題はＳドルの値上がりで、取り分け主要市場の日本、台湾、韓国通貨に対するＳドル・レートの上昇が深刻視されている。4～5スター・クラスのホテルが最も深刻な打撃を受ける見通しで、向こう2年間には同クラスの客室は1500室、したがって10％増加する。また旅行者に占める韓国、台湾、中国、インド人等の比重が高まっているが、これらの旅行者は3スター・ホテルを好んで利用している。こうした中でホテル業界筋はコスト上昇で値下げもままならないとしている。ＳＴＰＢは年率6.4％の旅行者の成長を維持し、2000年には年間1000万人の旅行者を誘致することを目指している。(BT:10/11)