1996-09-19 ArtNo.7664
◆<星>前会長死去に伴う買収の噂でシービュー・ホテル株高騰
【シンガポール】経営陣の主要メンバーが相次いで死去したシンガポール証取(SES)上場のシービュー・ホテルの株取引が活発化し、公開買付の噂が流れている。
シービューは17日、取締役のチョウ・チェンチュアン氏と前会長のリム・コックギン氏が14日と15日に相次いで死去したとSESに報告したが、これまでほとんど取引が見られなかった同社株は16日には、188ロットが取り引きされ、株価は1.50Sドル高のほぼ15Sドルに達した。しかし17日の取引は15ロットにとどまり、14.50Sドルに値下がりした。シービューはSESの質問に対して、株価急騰の理由は不明としているが、リム前会長の死去で、上場会社ファースト・キャピタル・コーポレーション(FCC)が同ホテルの公開買付に動くとの思惑が高まったようだ。FCCはすでにシービューの23%権益を握っており、リム氏家族の50%に次ぐ大株主となっている。またチョウ氏の死去で、FCCが取締役会に1~2名の代表を送り込める可能性も出ている。現取締役会がこれを認めれば、リム一族が同ホテルの再開発でFCCと協力する前奏、もしくは経営権を平和的に譲渡する兆しとも判断される。シービュー・ホテルは商用コンプレックスもしくはコンドミニアム(400戸)に再開発されることになっている。FCCは、シービュー株を買い増したか否か、もし買いましたとすれば、その目的は何かと言った質問に対してコメントを避けている。
シンガポール、マレーシア、香港に多数の店舗を構える書店チェーンのポピュラー・ブックを所有するチョウ一族を代表するチョウ氏は、シービュー株の持株比率は小さいものの、6名で構成する同ホテル取締役会中のインディペンデント・ディレクター(社外取締役)2人の内の1人で、もう1人はタン・エンセン氏。タン氏はシンガポール上場のジュロン・セメントとマレーシア上場タセック・セメントを所有するタン一族の一員。取締役会の他の4氏は現会長のシンホア氏を含め全員リム・コックギン前会長の子息。SESの規則により、シービューはインディペンデント・ディレクターを少なくとももう1人加えねばならない。また、FCCは23%の持株比率に基づき、少なくとも1名の取締役を送り込むことができる。(ST,BT:9/18)
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