1996-09-05 ArtNo.7480
◆<星>経済開発局、製造業大型プロジェクト6件に出資準備
【シンガポール】経済開発局(EDB)は製造業関連の6件の大型プロジェクトの誘致交渉を進めており、EDB自身10億Sドルのクラスタ・デベロプメント・ファンド(CDF)を通じてこれらのプロジェクトに出資する方針だ。
EDBのフィリップ・ヨー会長が3日催された同局年報の発表会で語ったところによると、これらのプロジェクトはいずれも、EDBがシンガポール製造業の長期的成長の原動力として期待する電子業と化学工業に関わっており、投資規模はそれぞれ数億ドルにのぼる。投資決定は向こう6~9ヶ月間に下され、97~98年には実行される見通しだ。この種の投資は懐妊期間が長く投資家はバランス・シートに影響を及ぼさぬファイナンスを望んでいる。EDBはリスクを負担し、開発資金を提供、事業が軌道に乗れば、同資金を別のプロジェクトに振り向けると言う。
一部のアナリストはシンガポール経済の電子/化学両部門への過度な依存に懸念を表明するが、ヨー会長は、両部門の見通しは良好と、こうした懸念を一蹴した。ヨー氏はまた、今年第4四半期に電子業況が回復するよう期待しているが、景気の変動はつきもので、投資は長期的視野にたって行うべきだと指摘した。昨年の固定資産投資総額68億Sドルの80%が電子/化学関連業種で占められ、今年上半期(S$38.4億)もほぼ同じ比率を保っている。今年上半期の投資約定額にはCDFプロジェクト5件が含まれており、内1件は日立と新日鉄の13億3000万Sドルのウエハー製造事業。EDBは同プロジェクトに30%出資する。
ヨー氏によると、シンガポールの固定資産総額は500億Sドルにのぼるが、向こう10年間の減価を補填するためには、年間少なくとも50億Sドルの投資が必要になる。今年の75億Sドルの投資目標は達成されつつあり、来年以降は年間100億Sドルを目指すと言う。(ST,BT,LZ:9/4)
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