SEAnews 1996-09-03 ArtNo.7453

【シンガポール】ディスク・ドライブ(HDD)産業の業況不振は10月初めから回復に転じる見通しだ。
クアンタムのデービッド・ロークリフ取締役(ｱｼﾞｱ太平洋地域市場担当)によると、ＨＤＤ業者は第2、第3四半期に在庫を一掃する見通しで、クリスマス・シーズンのＰＣ(ﾊﾟｿｺﾝ)需要増大も予想されることから、第4四半期にはＨＤＤ市況も回復に転じそうだ。しかし今年のクリスマス需要は例年に比べ遅れるものと見られる。ＨＤＤ需要の拡大は一般に9月にスタートするが、ＰＣメーカーは今年は10月になってやっとクリスマス用の在庫を拡大するものと見られる。このためクアンタムの売上げも今年第4四半期の後半から拡大、パートナーの松下寿も12月までにはフル操業に復帰出来る見通しだ。クアンタムは今年第2四半期の生産計画の規模を100万ユニット縮小したが、これは拡張計画を見合わせたもので、生産そのものは4月のレベルを維持している。シンガポールではローエンド製品の大量生産が行われており、生産削減の最大の影響を受けたのもこの種の製品だ。これまで松下寿は新製品は先ず日本で生産し、その後シンガポールで大量生産する方式を採ってきたが、ある種の製品は当初から大量需要が期待できることから、一部の新製品は最初からシンガポールで生産する方針を決めた。しかしシンガポールに新工場を建設する計画は今のところなく、またシンガポールから製造業務を他に移転する計画もない。これは松下寿の工場は高度に自動化されており、労働コストの低い国に移転しても大きなメリットはないためである。同社の今年第2四半期の出荷量は第1四半期の570万ユニットから520万ユニットに下降したものの、依然として世界のトップに立っていると言う。(BT:9/2)