SEAnews 1995-03-06 ArtNo.743

【東京】国際信用格付け機関スタンダード・アンド・プーア(S&P)は公共財政及び対外財政状況の改善を理由にシンガポールの信用度をこれまでのＡＡ＋から最高のＡＡＡに格上げした。これに伴いシンガポールは最低金利で長期資金を借り入れられる世界でも数少ない国の1つとなった。
Ｓ＆Ｐの東京オフィスが発表したところによれば、シンガポールの短期債務状況はＡ1＋で、先行き見通しは安定している。シンガポールは海外需要の減退や長期的競争力の部分的消耗に対応し得る財政及び国際収支面の柔軟性を備えている。元々安定した公共財政及び対外財政に不断に改善を加えていることが、この小規模な開放経済に様々な挑戦に対応する力を与えている。シンガポールは慎重な経済管理政策を採用し、また高付加価値産業への転換にも成功、その競争力を維持している。88－94年の間には年率8.9％の経済成長を実現、国民の生活水準は、アジアでは日本に次ぐ。また国内総生産の45.9％に達する貯蓄が投資の源泉になっている。長期的視野に立った穏健な政治政策に支えられた堅実な経済運営が今回の信用格付けアップの主因と言う。アジアでＡＡＡの格付けを受けた他の国は日本のみで、世界的にはオーストリア、英国、フランス、ドイツ、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェー、スイス、米国の名が上がっている。しかしＳ＆Ｐは最近発生したベアリング事件の影響には触れていない。(LZ:3/3)