1996-08-28 ArtNo.7379
◆<星>金融管理局、住宅ローンの返済遅延に引き当て義務づけ
【シンガポール】シンガポール金融管理局(MAS)は今年5月半ば以来銀行/金融会社に返済の遅延した住宅ローンに引き当てを義務づけており、政府の住宅投棄抑制措置の一環と見られている。
同措置の下、銀行は1年以上支払いが遅延しているローンについては、未返済額の50%の引き当てを行わねばならない。また3~6ヶ月の返済不履行に関してはローン未返済額と不動産評価額の80%の差額分を引き当てねばならない。仮に住宅の評価額が100万Sドルで、未返済額が80万Sドルなら、引き当ては不要。しかし未返済額が90万Sドルなら10万Sドルを引き当てなばならない。また返済遅延が6ヶ月を越えかつ1年未満のものに関してはローン未返済額と不動産評価額の70%の差額分を引き当てねばならない。今年5月には不動産価値の80%以上の住宅ローンは禁止されているため、以上の措置はそれ以前に貸し付けられた100%住宅ローンを対象としたものと見られる。
銀行界筋は、新措置は総じて金融市場にとって好ましいものとする一方、今のところ、返済不履行は希なため、同措置の影響はほとんどないが、来年になって投棄抑制の影響が顕在化するなら、金融機関の収益に影響を及ぼす恐れがあるとしている。今年第2四半期に返済が繰り延べになった銀行住宅ローンは11億Sドル増の194億Sドルを記録、また金融会社のそれは第1四半期の14%を上回る16%増の28億Sドルに達した。
政府の投棄抑制措置後、住宅ローン需要は顕著に下降したが、業界筋は、不動産譲渡手続き料の引き下げとともに、新措置は法律事務所にも深刻な打撃を及ぼしており、一部大手法律事務所の純益は25%近く下降したとしている。(BT:8/27)
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