1996-08-19 ArtNo.7255
◆<星>シナルマス、アムコルにUS$20億注入提案
【シンガポール】インドネシアのコングロマリット、シナル・マス・グループは財政危機に陥ったシンガポール証取(SES)上場の不動産開発/貿易会社アムコル・ホールディングズにシナル・マス傘下の20億米ドル以上のビジネス/資産を注入、全世界に展開する食品製造/流通、農業、不動産事業の本部に再編する救済案を提出した。
過去3週間にはサンテク・インベストメント、ポンティアック・ランドのクウィー一族、アムコル株主のヘンリ・プリバディ氏やスカムト・シア氏等9パーティーから救済案が提出されていたが、シナル・マスの救済案ではアムコルのビジネス及び資産が6億4500万Sドル/1株1.88Sドルと評価されており、アムコルの臨時法定管理人を務めるV.K.ラジャ弁護士は16日の記者会見の席上、「これは最良の救済案であり、また外国人のシンガポールにおけるビジネス機会に対する最良の評価でもある」と語った。シナル・マス・グループは、既存のアムコル株主に新たに設立する新会社の額面1米ドルの株式4株とアムコル株3株の交換を提案、同時にアムコル株10株に対して新会社のワラント1枚をオファーした。したがってワラントが全て株式に転換されるとすれば、アムコルの総発行株式3億4300万株が1株1.88Sドル、総額6億4500万Sドルと評価されたことになる。アムコルの純資産は350万Sドルだが、回収可能な3億8600万Sドルの資産とコスタ・ルー・コンドミニアム・プロジェクトの予想利益1億Sドルを加えると、4億8950万Sドルとなる。したがってシナルマスの上記評価額は1億5550万Sドルのプレミアム付きと言うことになる。シナル・マスは同新会社を米ドル建てでシンガポール証取(SES)に上場させるが、上場後3年間、過去3年間の平均利益に相当する少なくとも年間5000万米ドルの純益計上を保証、また負債返済のためにアムコルの資産を切り売りしないことを約束している。しかし以上の救済案はアムコル株主の65%の支持を得た場合に初めて実行される。仮に同提案が実行されると、アムコルの既存株主は、新会社の24億米ドルの発行株式の17~19%を占め、残りをシナル・マスが握ることになる。シナルマスは向こう2週間以内にダウン・ペイメントとして4000万米ドルを新会社に注入、またアムコルの取締役を指名し、スムースな再編を確保すると言う。
アムコル取締役会は17日、法定管理人とシナル・マスの間で妥結した同買収条件を受け入れると発表した。(ST,BT,LZ:8/17,LZ:8/18)
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