SEAnews 1996-07-27 ArtNo.6984

【シンガポール】アムコル社の特別監査人を務めるプライス・ウォータハウス(PW)は、アムコルが45％出資するフナイ・エレクトリック(ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙ)Pte Ltd(FES)が債務支払不能と判定した。
これ以前になされた外部監査会社ＫＰＭＧの報告によれば、フナイ(S)の95年12月末時点の株主資産はマイナス2420万Ｓドルとなっており、アムコル・グループは今年5月末時点で同社の帳簿上において200万Ｓドルの引当を必要としている。またアムコルが保証を提供したＦＥＳの銀行借り入れの45％に相当する790万Ｓドルも、アムコルの財務報告に記載されねばならないと言う。
ＰＷが最も重視している点は、アムコルがＦＥＳの製品中の自社取り分を取得する権利を行使せず、ＦＥＳの収益が全て同社に55％出資する日本の船井電機に持ち出されている点。ＦＥＳは全ての製品を船井電機に売却、船井電機はその96％を多額のマージンを上乗せしてアムコルの完全出資子会社サンケイに売り渡している。船井電機はＦＥＳの全ての製品から5％のロイヤルティー(研究開発ｺｽﾄを含む)を徴収していることから、上乗せされた同マージンを船井電機の研究開発コストとして説明することはできない。アムコルの取締役らはＫＰＭＧの報告書(96/2)を目にするまで、以上の事実に気付かなかったと述べている。もしそれが事実なら船井電機はアムコルに損害を及ぼしうる立場を故意に利用していたと言える。またＫＰＭＧが990万Ｓドルの在庫を抹消した結果、ＦＥＳは1995年3月期に1300万Ｓドルの損失を出したが、これはＫＰＭＧが在庫の帳簿価格が実際のコストを遥かに上回っていることを発見したためである。ＫＰＭＧはこの種の不正常な帳簿記載が昨年初めて行われたのか、それ以前から行われていたものか明らかにしていないが、もし以前から同様な行為が行われていたとすれば、過去のＦＥＳの損益にも見直しを加える必要があると言う。(ST:7/26)