1996-07-09 ArtNo.6744
◆<星>安価な広帯域ネット構築目指し企業買収が白熱化
【シンガポール】マルチメディア・スーパーハイウェイがアジア各国に登場しつつあるが、一般家庭をリンクするにはなお新技術の開発が必要とされるようだ。ベイ・ネットワークス、シスコ・システムズ、3コム等のプレーヤーはこうした中で安価な広帯域ネットワークの潜在性に注目、関係技術の獲得に凌ぎを削っている。
シスコ・シンガポールのオン・テンベン課長は、広帯域ネットワークの最も有効な技術はATM(非同期転送モード)で、同社はATM技術を得るためにストラトコムを40億米ドルで買収したと語る。しかしデスクトップPC(パソコン)をATMで結ぶコストは月額5万米ドルにのぼり、一般家庭で現在使用されているモデムによるインターネット・アクセスの月額平均30米ドルに比べ、桁外れに高い。しかしATM技術により幹線インフラを構築した後、各家庭との間を別の技術で結べば、そのコストを引き下げることができる。
ベイ、シスコ、3コム等はATM幹線と家庭を結ぶ様々な技術を模索しており、ベイ・ネットワークは企業買収を通じたADSL技術の取得を目指している。現在ADSL技術を提供する主要企業はいずれもセスダック登録のペアゲイン、アマーティ、ウェステルの3社。ベイのジェームズ・ブリストー重役(GM)は、これら3社のいずれかを買収する可能性に関してコメントを避けた。同氏によると、ADSLは既存の銅線を用いることから、改めて高価な回線を敷設する必要がない。各家庭を光ファイバー・ケーブルで結べば1戸当たり月額300米ドルかかるが、ADSLなら60米ドルで済む。一方、シスコは先月、ワイアレス・インターネット・アクセス技術でスウェーデンのエリクソンと提携した。同技術は広帯域ネットワークにも応用でき、ワイアレスなことからケーブルを敷設する必要がない。シスコはまた米国ゼニスの権益を買収、共同でケーブル・モデムを通じた広帯域ネットワークの開発に乗り出している。シンガポール・ケーブル・ビジョン(SCV)はこれまでに銅ケーブルを10万世帯に敷設、1週間に5000世帯の割合で増設している。同社はこれまでに2万以上のケーブル・モデムを発注しており、シスコは同契約の獲得を目指している。また3コムもケーブル・モデムの出荷を開始しており、Sanjiv Verma重役(東南亞地区GM)によると、同社は米国企業Com21の権益買収を通じてケーブル・モデム技術を手に入れたと言う。ベイは過去12カ月間に6社を買収、1社当たりのコストは1億5000万米ドル、これに対してシスコは過去2年間に10社を買収、1社当たりの買収価格は1億米ドル以上と言う。(BT:7/8)
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