1995-02-27 ArtNo.665
◆<星>国立大エコノミスト、電子/金融偏重に警鐘
【シンガポール】シンガポール経済の電子/金融業への過度の依存は構造的な不安定要因と化しており、また国内経済の成長は今年以降減速する見通しと言う。
国立シンガポール大学(NUS)計量統計研究ユニットが24日主催したセミナーで、経済/統計学部のエコノミスト3人が共同発表したところによれば、電子部門は現在製造業生産の半ばを占めるが、これに金融部門を加えると国内総生産(GDP)全体の60%に達する。電子/金融部門は景気の周期的変動が大きいため、両部門への過度な依存は経済の不安定性を高めることになる。しかし、その反面これら両部門は技術集約度が高いことから、シンガポールの技術的優位を維持する上には役立つ。 GDP成長率は昨年の10.1%から、今年は8.1%、来年は7.6%、再来年は7.1%に減速する見通しだ。これは経済協力開発機構(OECD)諸国の成長減速と世界的に電子業の活況が峠を越したと見られるためで、OECDの成長率は昨年の3%から今年は2.8%に鈍化する見通しだ。また国内労働市場の逼迫が相対単位労働コスト(RULC)を押し上げることも、成長減速の一因になりそうだ。RULCが上昇すれば、外人投資家の足を遠のかせ、輸出を減退させる。しかし外人労働者の雇用規制が緩和されれば、状況は変わる。また成長鈍化は建設部門に特に顕著に現れ、昨年の13.9%から今年の10.2%にダウン、更に97年は4.4%にとどまる見通しと言う。(ST,BT,LZ:2/25)
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