1996-06-28 ArtNo.6605
◆<星>商事調査局、系列会社の不正取引容疑でアムコルを捜査
【シンガポール】大蔵省商事調査局(CAD)はシンガポール証取(SES)上場のアムコル・ホールディングズの子会社及び系列会社4社--フナイ・エレクトリック(シンガポール)、サンケイ、PTアムコル・グラハ・エレクトロニク・インダストリーズ、アナ・ブキ・リゾーツ--の不正行為の調査に乗り出した。
捜査の詳細は不明だが、支配権益買収戦と取締役人事を巡る紛糾の過程で指名された中立の監査会社プライス・ウォーターハウスの報告によれば、アムコルと船井電機の45:55の合弁会社フナイ・エレクトリック(S)は4つの異なる帳簿を有し、特許権料の支払方式、在庫コストの計算方法等に問題が発見された。また日本の親会社に販売した料金を徴収しておらず、これらの問題に関わる損害額は2400万Sドルにのぼる可能性が有るとされる。
PTアムコル・グラハの経営はインドネシア当局のライセンスに基づいておらず、目下組織再編が行われている。またアムコルの某株主により提供された1692万Sドルの借款の契約内容が取締役会の承認を経ずに更改され、返済も滞っている。
アナ・ブキ・リゾーツは1990年に証券取引に伴う240万Mドルの損失を出したが、同取引は取締役会の承認を経ずに行われた疑いが有る。マレーシア税務当局はこの種の損失は税額控除の対象にならないとして目下調査を進めている。
サンケイは日本の船井電機から大量に仕入れたCDドライブの値下がりで、5月末決算で多額の損失を被る見通しだが、同取引も取締役会の承認を経ずに行われた疑いが有ると言う。
この日はまた、シンガポール証取(SES)の勧告を受けて新たに指名された中立の取締役3人が共同記者会見し、SESが関心を抱く問題やCADの捜査内容等に関して説明を行った。これら3人とは野村シンガポール会長を兼ねるシンガポール・テクノロジーズ・インダストリアル・コーポレーションのウォン・コクシュー会長、パシフィック・ファンド・マネージメント・パートナーのホー・ティエンイー氏、国会議員のK.シャムガン弁護士。(ST,BT,LZ:6/27)
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