1996-06-21 ArtNo.6520
◆<馬>高裁、バクン・ダム事業に非合法判決
【クアラルンプル】マレーシア高裁は19日、環境法(1974)違反を理由に、サラワク州バクンにおける135億Mドルの水力発電プロジェクトに非合法判決を下した。
判決文によれば、環境法の下、一般代表の意見は環境アセスメント報告書の評価に不可欠であり、したがって環境省が突然環境アセスメント報告書評価の全権限を、原告らの参加が保証されぬ州政府に委ねた行為は、同法に違反していると言う。ロング・ハウス住民3人から成る原告の弁護士は、今回の判決によりサラワク州天然資源/環境局によるバクン・ダム関連プロジェクトの認可は全て無効となり、中央政府環境局の新たな認可が下りるまでは、如何なる工事も継続できなくなると語った。
しかしアンワル副首相は、「高裁判決は純粋に技術的な法律手続き上の問題であり、現在の過渡的段階においては、バクン・ダム建設工事を継続できる」と指摘した。同相によれば、政府は高裁の判決を尊重するものであり、対応策を検察長官と相談するとともに、レオ・モギー エネルギー通信郵政相に対策会議の召集を指示する。また来週水曜にマハティール首相が帰国した折りには、副首相自ら今回の判決内容を首相に報告すると言う。
金融業界筋は今回の判決によりバクン・プロジェクトの進捗が停滞する可能性があり、そうなれば政府が承認した契約が一夜にして覆されるとの印象を内外の投資家に与え、投資環境に影響を及ぼすと指摘している。また政府は高裁が中央政府の意向に反する判決を下す恐れはないと判断していた嫌いがあるが、マハティール首相に支持された大型プロジェクトが果たして今回の判決によりストップするのかどうかはなお不明と評している。一方、野党民主行動党は同日声明を発表、政府とEkran Bhdに高裁判決を尊重し、直ちに工事を停止するよう呼びかけた。(NST,MBT,STAR,ST,BT,LZ:6/20)
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