1996-06-11 ArtNo.6384
◆<星>タンカー補修部門の繁忙は造船業況回復の兆し?
【シンガポール】シンガポールの4大造船所はタンカーの第4次特別点検業務で時ならぬ繁忙を享受しているが、造船業界幹部もアナリストもこれをもって業況が回復に転じたと見るのは時期尚早としている。
タンカーは4年ごとに特別点検を受けるが、過去数カ月間に20件にのぼるこの種の特別点検がシンガポールで行われた。またこれらのタンカーの多くが1970年代半ばに建造されたもので今回が第4回目の特別点検となる。こうしたことから一部に第4次点検業務の一層の増加や市況の回復を期待する向きも有るが、造船業界の幹部は年内になお数件の特別点検契約を獲得する可能性も有るが、依然不十分で、契約額やマージンもピーク時ほどでないと指摘する。これ以前には造船会社筋もアナリストもこの種の点検業務の契約額を1000万Sドル前後と見積もっていたが、実際には300万~500万Sドルに過ぎない。またボリュームも不安定で、現状では市況回復の兆しと見なすことはできない。タンカー・オーナーは造船業界の市況が低迷している時機を利用して特別点検を行っているが、タンカー市況そのものは決して改善していない。当地造船業の不振の主因は中東方面の同業者との競争過熱と言う。(BT:6/10)
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