1996-05-04 ArtNo.5919
◆<星>運輸/銀行/航空ソフトのIpacs、多角化に本腰
【シンガポール】PC(パソコン)ディーラーから運輸/銀行/航空領域で市場をリードする国際的なソフトウェアー・ソルーション開発・供給業者に成長したIpacsは建設、通信等の他領域への進出を通じて年率20~30%の成長を維持する計画だ。
アンデルセン・コンサルティングとビジネス・タイムズが選んだ1995年地元非公開企業トップ50リストで第28位にランクされたIpacsコンピューター・サービシズのウォン・シンラム重役(MD)は、1983年にシンガポール航空(SIA)を退職、10万Sドルに満たない資金で同社を創設した。ウォン氏はSIAのコンピューター・システムと運送会社各社のコンピューター・システムのリンクを手掛けた際、同領域に多くのビジネス機会が存在することを発見、新会社の創設を思い立った。しかし当初は何等独自の商品がなかったため、PCのディーラー・シップを得るとともに、会計システムを運輸会社に売り込み、その傍ら運輸関連ソフトウェアー・ソルーションの開発に取り組んだ。Ipacsは1985年に独自のソフト・パッケージ、フライトネットを完成、同時にIBMハードウェアーの代理権も獲得し、トータル・ソルーションの提供が可能になった。これを契機にビジネスは成長、電子データ交換(EDI)システム“トレードネット”開発企業の1社にも選ばれた。Ipacsは1989年に香港、90年には中国にオフィスを開設、中国市場の開拓に乗り出した。しかし国営企業に支配された中国運輸産業に外国製ソフトウェアーを売り込むことは極めて困難であることを察知、まだコンピューター化が進んでいない銀行/航空業界にターゲットを転換した。1992年には台湾の高雄に事務所を設けるとともに、新商品トレードバン・システム用のEDIアプリケーションのカスタマイズに力を入れた。Ipacsは今では北京、広州、上海、香港、高雄、台北に事務所を展開、手掛ける全ての領域でマーケット・リーダーを務める従業員240人の中堅企業に成長している。昨年の営業額は一昨年の2700万Sドルから3100万Sドルに拡大した。しかし、ウォン氏は、企業規模が大きくなると全ての子会社が好成長を維持するのは困難と語る。このため同社はコンサルタント会社にトータル・ビジネス・プランの立案を委託するとともに、建設業の自動化や目下ブームの電気通信事業領域への進出も図っていると言う。(BT:5/3)
|