SEAnews 1995-02-20 ArtNo.584

【クアラルンプル】ミスター・ホンダの異名をとるロー・ブーンシュー氏(79)が急逝(心臓発作)したとの報で、マレーシア及びシンガポールにおける本田車のフランチャイザー、オリエンタル・ホールディングズBhdの株価が17日急騰した。
オリエンタルはこれまで安値株と見なされており、この日も午前中は11.80Ｍドルで閑散とした商いが続いていたが、一旦ロー氏の急逝が伝えられるや、13.10Ｍドルにジャンプ、さらに14.90Ｍドルにまで急伸した。オリエンタルに通じた某アナリストは、ロー氏には事業を継承する子息がないため、オリエンタルが買収の標的になるとの憶測が流れたと語る。ロー氏の事業の法定相続人とされていたカーケン氏は数年前に変死しており、3人の令嬢と他の子息はファミリー・ビジネスに関わっていないと言われる。しかし、先のアナリストによれば、ロー氏に相続人がないと言うのは正しくなく、令嬢の一人は積極的に父親の事業に関与してきた。またロー一族が好収益を上げるファミリー・ビジネスを売却する理由もないと言う。福建省恵安県出身のロー氏は12歳の年にペナンに渡たり、鉄工所の徒弟からバス会社を築き上げたが、日本軍に没収された。しかし戦後も瞬く間にバス／運送会社を再建。1958年に出張先の東京で見かけたホンダ製バイクに惚れ込んだロー氏は、直ちに本田宗一郎氏と掛け合って、マレーシアにおける一手販売権を獲得したと言う。当時まだ33歳だった。今日オリエンタル・グループは自動車の販売／製造の他、パーム油／天然ゴム農園、ホテル、金融、不動産開発等の事業を手掛け、ペナンに60ｈａの開発用地も所有している。オリエンタル社の純益は92年が1億2210万Ｍドル、93年は1億3000万Ｍドルで、94年には1億5600万Ｍドルが見込まれている。(NST,NS,SJ,BT:2/18)