SEAnews 1996-04-11 ArtNo.5645

【クアラルンプル】モクザニ・マハティール氏(首相子息)に率いられる上場企業トンカ・ホールディングズはヘルスケア、金融証券、製造業を3つの中核事業とするため、企業買収を積極化している。
ヘルスケア民営化計画の下、ジョホール／マラッカ／ヌグリスンビラン3州の政府病院19は、医療廃棄物の処理、各種施設の保守、バイオ医療機器、清掃、ランドリー等のサービスを民間の手に委ねる。この種のいわゆる非医薬医療サービスは地味な事業だが、15年契約の初年度だけで7500万Ｍドルの売上と15－20％のマージンが見込める。トンカは目下マラッカに医療廃棄物焼却施設を建設中で、これにより同社の焼却能力は今年半ばまでに倍増する。同社はその後民間病院にまでサービスを拡大、またホテル業界に対する清掃／ランドリー・サービスの提供も計画している。第7次マレーシア計画の下、ヘルスケア産業は年商40億Ｍドルのビジネスに成長する見通しで、トンカのヘルスケア部門売上も98年には1億Ｍドルの大台に乗るものと見られる。トンカは昨年9月ジョーホール州拠点の証券会社Kestrel Securities(前称MBfｾｷｭﾘﾃｨｰｽﾞ)を8360万Ｍドルで買収したが、売り手は1996年に1950万Ｍドルの利益を保証している。一部の投資家は周期的な業況変化の激しい証券業界への進出に懸念を表明しているが、アナリストらは金融業スーパーマーケットを目指す戦略の一環と見ている。それによるとトンカはシブ拠点のワー・タット・バンク及び某アセット・マネージメント会社の買収も狙っているもようだ。東マレーシアで活躍するワー・タットはトンカの強力なコネクションを得ることにより西マレーシアでも実績を上げるものと見られる。トンカの製造業部門にはプリント基板(PCB)メーカーのトンカ・エレクトロニクス、家電のシャープ・ロキシー、そして最近買収した精密エンジニアリングのＴＨＢインダストリーズ(前称Mecoprise)が含まれる。ＰＣＢ事業は薄利多販を特徴とするが、精密エンジニアリングの収益率は高く、ＴＨＢインダストリー傘下の6子会社は平均40％のマージンを享受している。
トンカの予想純益2890万Ｍドルと4.66Ｍドルの株価からすると、同社の株価収益率は25.5倍となるが、同価格を高いと見るか否かは、トンカの成長の潜在性の実現の如何にかかっていると言えそうだ。(BT:4/10)