1996-04-10 ArtNo.5625
◆<星>経済、世界的な半導体産業の設備過剰で成長鈍化
【シンガポール】世界的な半導体産業の設備過剰からシンガポールの電子産業だけでなく経済そのものの成長も今年は鈍化する見通しだ。
ソロモン・ブラザーの報告によれば、昨年の世界半導体産業の投資支出は72.9%増の382億米ドルを記録、これに対して売上は38%増の1444億米ドルと、前者の成長率が後者のそれを大幅に上回った。この結果投資(US$382億)/販売(US$1444億)比率は26.5%と、1985年以来の最高を記録しただけでなく、基準とされる20~22%のレベルを大幅に超過した。このことは今日の在庫調整が決して一時的なものでないことを暗示している。昨年11月以来の半導体の急激な値下がりで、米国の主要PC(パソコン)メーカーは価格が底打ちするまで周辺機器の仕入れを控えるものと見られ、アジアの電子製品輸出も1996年上半期はスローダウンする見通しだ。シンガポールの電子産業はディスク・ドライブとマルチメディア製品を重点生産しているものの、こうした潮流の影響を回避できない。シンガポールの国産電子製品輸出の伸びは1994年10月にピークに達し、その後鈍化傾向を辿ってきたが、今年は一段と減速、国内総生産(GDP)に占める経常収支黒字の比率は昨年の18%から今年は11.9%に縮小、GDPの成長も昨年の8.8%から8%に鈍化する見通しだ。(ST:4/8)
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