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1996-04-01 ArtNo.5522
◆<星>蔵相、Sドル相場への介入の可能性否定
【シンガポール】シンガポールの今年の輸出は昨年並みの安定した成長を維持できる見通しで、このため政府が外為市場に介入して輸出を刺激する必要はなく、また特定の工業部門の成長維持のために市場に介入するようなことはなおさらないと言う。
リチャード・フー蔵相は先週金曜(3/29)、ロイター・ファイナンシャル・テレビジョンのインタビューに対して以上の考えを語った。昨年シンガポールの輸出産業は国内総生産(GDP)の66%を占め、一昨年を僅かに下回ったが、今年も昨年並みのレベルを維持できる見通しで、輸出が減退する恐れはない。シンガポールは開放経済体制を採っており、資本市場や外為市場に対する規制は存在しない。またシンガポール経済は輸入に強く依存しており、Sドル相場を引き下げれば、物価と賃金の上昇を招く恐れがある。こうした点からも輸出促進のためにSドル相場を人為的に引き下げるようなことはない。シンガポールの政策は低インフレ下の安定した経済成長を維持することにあると言う。
フー蔵相はまたシンガポールの経常収支の黒字が日本におけるようなバブル現象を招来する恐れはないと指摘した。それによるとシンガポールの経常収支の黒字は平均年齢が比較的低く、人口老齢化に伴う負担が少ないこと、また貯蓄率が極めて高いことに起因している。こうした貯蓄資金が住宅不動産市場に流入する際には資産インフレが生じる恐れも有るが、大部分のシンガポーリアンは政府住宅に居住しており、公共住宅価格は国民の手の届く範囲内に安定している。民間住宅の値上がりは国民の貯蓄増を背景とした住宅需要に伴うもので、バブル経済とは無縁と言う。(ST,BT,LZ:3/30)
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