SEAnews 1996-02-29 ArtNo.5115

【シンガポール】中国本土との間の緊張が高まる中で台湾からの資金流出が拡大、シンガポールに流入する台湾資金も増えているようだ。
具体的な数字は明らかでないが、観測筋は最大の恩恵を享受しているのは銀行界で、一部は証券市場にも流入していると指摘する。今月シンガポールのインターバンク・レートは1％を割り込んだが、ＵＯＢのウィー・チョウヤオ会長は月曜、台湾、香港、そして一部日本からもホットマネーが流入していると指摘した。有るアナリストは過去6カ月間に100億米ドルが台湾から流出したと予想、こうした資金の多くは台湾と伝統的に密接な関係を有する米国、カナダ、香港に流入したものと見ている。一部の台湾人はシンガポールの第9(ｵｰﾁｬｰﾄﾞ/ﾀﾝｸﾞﾘﾝ)、第15(ｲｰｽﾄ･ｺｰｽﾄ)郵政地区のハイエンド民間住宅に関心を示しているが、まだ実際に成約に至ったケースは少ないようだ。一部のアナリストはその原因をシンガポールの住宅の高値に帰すが、別の筋は500万Ｓドルの予算の台湾バイヤーにとっては300万Ｓドルのコンドミニアムは小さすぎると評している。今年1月には台湾のビジネスマンがシンガポール証取上場のアムコル・ホールディングズの5％権益を買収、更に6.36％にその持ち株を引き上げたが、某銀行家はこうした多額の個人投資は例外とする一方、台湾海峡の緊張が持続すれば、この種のケースも増加する可能性があると補足している。(BT:2/28)