SEAnews 1996-02-27 ArtNo.5084

【シンガポール】昨年4月末に部分的にオープンし、同年9月初めから完全操業体制に入ったパルコ・ブギス・ジャンクション・ショッピング・モールは今年8月末締めの初年度売上目標1億1500万Ｓドルをほぼ照準に収め、第2年度には9％増の1億2500万Ｓドルの売上を目指している。
ブギスＭＲＴ駅にリンク、24万平方フィートの西友百貨店、オフィス・タワー、ホテル・インターコンチネンタル・シンガポールとともにブギス・ジャンクション・コンプレックスを形成している17万2000平方フィートのパルコ・ショッピング・モールには120テナントが入居している。1992年以来グループの初の海外事業の指揮を採ってきたストレーツ・パルコ・リテール・マネージメントの原田重役(GM)によると、昨年12月末までに既に7000万Ｓドルの売上を達成しており、平方フィート当たり670Ｓドルに相当する1億1500万Ｓドルの売上目標は、ミッド・マーケットをターゲットとするパルコにとっては手堅い線と言う。ちなみによりハイエンド市場をターゲットとする高島屋ショッピング・センターは昨年平方フィート当たり990Ｓドルの売上を達成している。多くの市場観測者はブギス・ジャンクションをオフ・ロケーションと評していたが、パルコのこれまでの成果はアナリストらの悲観的な予測と対照的なものとなっている。ウィーク・デーには1日3万5000人、週末には6万人のショッパーがつめかけ、内約80％が35歳以下の年齢層となっている。値引き等、様々な特典をオファーする優待券の所持者は初年度の目標の5倍の5万人に達した。このほか全モールを通じたＰＯＳ(ﾎﾟｲﾝﾄ･ｵﾌﾞ･ｾｰﾙ)システムによる顧客動向のモニターとフィードバック、魅力的なテナント・ミックスの構築も奏功したようだ。しかし批評家はＭＲＴリンクと目新しさが当初の成功の主因で、新たなプレーヤーが市場に参入する中でその成功をどこまで維持できるかが真偽のほどを見極める鍵と評している。この点について原田氏は、新たなプレーヤーの参入で一部のシェアを失うことは有っても、独自性を創出し、ファンダメンタルを強化すれば、顧客を取り戻し、更にシェアを拡大することができると自信を表明した。(ST:2/26)