1996-02-09 ArtNo.4915
◆<星>2年来の工業不動産ブームに冷却の兆し
【シンガポール】都市再開発局(URA)は7日、トゥアスとカキブキ地区工業用地の入札結果を発表したが、4区画中3区画の落札価格が昨年6月に記録されたベンチ・マークを27~39%下回り、過去2年来の工業不動産ブームに冷却の兆しが生じていることを印象づけた。市場観測筋は政府が工業地の供給を拡大し、市況の冷却化を図る方針を発表したことに対する、直接的な反応と評している。
地元不動産業界のリーダー、ン・テンフォン氏のグローリー・リアルティーが4区画中3区画を落札した。ン氏はカキブキの2区画中ユノス・リンクに面した70万1494平方フィートの土地を1億3196万Sドルで落札、同価格は建築可能床面積を基準にすると平方フィート当たり85.51Sドルとなり、同氏が昨年6月に同じ地区で落札した工業用地の83.15Sドルを3%上回っている。しかしジュロン・タウン公社(JTC)子会社のテクノロジー・パークスに率いられるコンソーシアムにより7800万Sドルで落札されたもう一つの区画(64万5834平方フィート)は、平方フィート当たり60.39Sドルと、昨年のそれを27%下回った。やはりン氏が落札したトゥアスの2区画の平方フィート当たり価格はいずれも30.50Sドルで、同氏が昨年同じ地区で落札した際の50Sドルを39%も下回った。
不動産コンサルタントはトゥアス区画の大幅な値下がりは同地区の工業用地の供給急増を反映したものと見ている。政府はマレーシアとの第2リンク(大橋)建設地でもある同地区に500haの埋め立て地を造成、賃貸料を対岸のジョホール州と競争し得る水準に維持する計画のようだ。もしそうしなければ、製造業者は第2リンクの対岸に工場を建設するものと見られるためで、不動産開発業者はこうした趨勢を理解し、今回の入札に慎重な姿勢を見せたものと見られる。このことは各区画の入札がほとんどグローリー・リアルティーとテクノロジー・パークスの対戦に終始したこと、またファースト・キャピタル、シンバス・ランド、オーストラリアのレンド・リース・グループがいずれもテクノロジー・パークスとコンソーシアムを組織、競争を控え、リスク分担戦略を採用したことにも反映されていると言う。(ST,BT,LZ:2/8)
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