【カトマンズ】ネパールは一ヶ月以上にわたって全国的にロックダウンされている。3月24日にコロナウイルスを制御するためとして課された1週間の制限は、三度延長され、最終的に何時解除されるかは不明だ。幸い、コロナ患者の死亡はまだ報告されていないが、コロナ陽性の数は日々増加している。
ロックダウンは一般人、特に国内や海外で働く貧しい人々の生活に大きな影響を与えている。彼らのほとんどは、日雇い労働者で、目下仕事がなく、都市では生活するための収入が得られないため、必死で故郷に戻ろうとしている。しかし、バスの運行が禁止されたため、甚だしい場合700 kmも歩いて帰らねばならない。彼らのほとんどは途中で警察に妨害され、場合によっては殴打されたりしている。あるものはインドから帰国するためマハカリ(神話中の大河)のような大河を泳いで渡り、故郷に戻ろうとしたが、危険な渡河の後やっとたどり着いたネパールで警察に拘留されるはめに陥っている。しかし、政府は、取り分け首相は、飢餓に瀕している人などいないかのように対応した。彼はニュース報道を『メディアの陰謀』と称し、政府が機能していないことを自ら暴露した。
国民が不安を抱え生活の困難に直面している最中、政府は多くの論争に巻き込まれて来た。コヴィッド19パンデミック防衛のための医療機器の調達の過程で、二人の閣僚が汚職容疑で告発された。パンデミック関連の医療機器を輸入するためにオムニ・グループと12億4000万ルピーの契約を結んだのは政府だった。それは緊急事態に鑑み、通常の調達手続きを抜きに行われた。しかし、危機的状況に乗じて不当利益を得る狙いから故意に経験のない民間企業が選ばれた。オムニ社は、不当な高価格で中国製の個人用保護具、N95マスク、サージカルマスク、サージカルグローブ、携帯用ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)機器、迅速検査キット等の各種医療機材を輸入した。これらの機材の品質にも疑問が残った。当初調達を擁護していた政府は、国民やメディアの圧力が高まる中で、オムニ・グループとの取引停止を決めた。しかし論争はそれで終わらなかった。その任務はネパール軍に引き継がれた。しかしなぜ、軍は政府によって選ばれたのだろうか。軍隊が、どうして医療機器を輸入するのに適した機関と言えるのだろうか。同任務は軍隊の専門能力を超えている。
ネパール政府が今時の緊急事態と無縁な2つの条例を提起した時、別の論争が生じた。政府は4月20日に2つの条例を発行した。その1つは政党法に関するもので、改正された場合、党中央メンバーもしくは国会議員党員の40%が新党登録を希望すれば、既存の党を分割できることになる。以前の規定では、党中央委員会と議会党員の双方の40%の支持が必要とされた。首相が党書記局で同条例を擁護した際、「それは議会における野党の1つの分裂を容易にするために導入された」と述べたため、皆が眉をしかめた。憲法評議会に関する別の条例は、6人の議員のうち2人の支持さえ得れば、決定を下せると言うもの。
しかし、与党内の強力な抗議や、各方面の批判を乗り切ることができず、政府はたった5日で物議を醸す条例の廃止を決めた。政府が次々に時宜をわきまえぬ政治論争を引き起こすため、ネパール国民はコロナ・パンデミックとの戦いに集中できないのが現状だ。(ヒマラヤン・タイムズ:オピニオン)
【ニュースソース】
Nationwide lockdown: For corona’s control or dirty politics?
○世界は一つ: