【ニューデリー】インドは、米国がコロナウイルスの世界的流行に対する北京の役割に対する非難を高める中、医療機器大手のアボットラボラトリーズを含む米国企業を中国から誘致しようとしている。
匿名のインド当局者によると、インド政府は4月に、米国拠点の企業1000社以上に接触するとともに、在外公館を通じ中国からの移転を模索する製造業者にインセンティブ提供をオファーした。それによると、交渉対象になっている550品目を超える製品の中で、インドは、医療機器サプライヤー、食品加工ユニット、テキスタイル、皮革、自動車部品メーカーを優先している。
ナレンドラ・モディ首相にとっては、投資の急増は、コヴィッド19の爆発的拡散を防ぐための8週間に及ぶロックダウンにより打撃を受けた国内経済を下支えするのみならず、製造部門の国内総生産に占める比率を現在の15%から2022年までに25%まで成長させるという目標を達成するのに役立つ。
パンデミックにより1億2200万人が失業した後、雇用創出の必要性はさらに切迫している。それはまた、長年にわたって投資を妨げてきた土地・労働・税に関する改革の停頓を打開し促進する機会を遂にインドに提供する可能性がある。
インドの政治外交政策に関する著作で知られるシカゴ大学のポールスタニランド准教授は、インドにはグローバル・サプライチェーンの一角を占める機会が存在するが、それには、インフラストラクチャとガバナンスへの莫大な投資を必要とするだろうと述べている。
○簡便な法規と安定した政策体制通じ中国から企業呼び寄せを:専門家
【ニューデリー】インドは中国から拠点をシフトする企業の誘致を目指しているが、専門家はその種の試みを成功させるには、よりリベラルな土地法と労働法の制定に加え、中途で変更されることのない安定した政策を保証する必要があると指摘する。しかし中国には多国籍企業を維持し続ける余力があり、インドに彼等を誘致する余地はほとんど無いと言い切るものもある。
シンクタンク『インド改造全国評議会(NITI Aayog:National Institution for Transforming India Aayog)』のアービンド・パナガリヤ元副議長は、中国から企業を誘致するために『沿岸経済圏(CEZ:Coastal Economic Zones)』を設立することを提案するとともに、ビジネス・スタンダードに次のように語った。「多国籍企業はどうしてインドやインドネシアではなくベトナムやバングラデシュに行くのだろうか。多国籍企業を引きつけるのは、我々が照準を合わせている『インセンティブ』だろうか、それとも土地や労働などの市場要因の機動性を含む『ビジネス環境』だろうか。」パナガリヤ氏は、新世代製造業に対する僅か17%の法人税に象徴されるように、インドが提供するインセンティブに不足はないと指摘した。「我々に欠けているのは、機動性に富んだ土地と労働市場だ。この点に関して我々は依然としてあらぬ方向に目を向けている。私が最近『雇用自治体(AEZ:Autonomous Employment Zones)』と呼んでいる『沿岸経済圏(CEZ)』は、300~500平方キロ面積を備え、正に機動性に富んだ土地と労働市場、そして迅速な通関サービスを提供する。」同氏によるとCEZ構想は、独自の土地法や労働法を制定する自治権を有する深圳の研究からヒントを得たもので、これにより企業のニーズに迅速に対応できると言う。
【ニュースソース】
Covid-19 impact: India looks to lure more than 1,000 US firms out of China
Offer easier laws, stable policy regime to woo firms from China: Experts
○世界は一つ: