【イスラマバード】先月(11月)第四週の二つの重要事態の展開により、またぞろ『中国パキスタン経済回廊(CPEC:China-Pakistan Economic Corridor)』に焦点が当てられた。
一つはCPECについての米国務省アリスウェルズ南アジア担当次官補代理の不利な発言であり、二つ目は、新たに発足したCPEC事務局長にアシム・バジワ退役中将が任命されたこと。
ウェルズ国務省次官補代理の声明は、中国の『一帯一路』イニシアチブを巡り容易に導入可能な中国資本に群がる世界各国を追い払う努力を強化するワシントンが最近展開するよりアグレッシブな姿勢の一環である。
こうした強硬な米国の姿勢は、米中貿易戦争と二つの超大国の間の息苦しい対立をきっかけに生まれた。ベン・スティールとベンジャミン・デラ・ロッカは、ブログ上で、「トランプ関税は多くの国に対中貿易黒字をもたらし、アフリカとラテンアメリカの『一帯一路』パートナーが最大の受益者だ」と述べている。しかし、米中のデカップリング(分離)はパキスタンにはほとんど利益をもたらしておらず、パキスタンはそれ自身の課題に直面し悪戦苦闘している。イムラン・カーンが政権を握って以来、CPECは、国際収支危機、財政逼迫、官僚の優柔不断により、座礁した。その結果、新しいCPEC投資は枯渇し、古い投資の進捗は停頓した。
しかし、CPEC事務局の設立と第9回CPEC包括的経済連携(JCC)会議での新たな交渉は、CPEC復活の見通しを再燃させた。また、多くの人は、元将軍をCPEC事務局長に起用したことにより、『国家汚職取締局(NAB:National Accountability Bureau)』の説明責任追及に起因すると見られる官僚の不作為を政府が克服できるかもしれないと期待している。
しかし、CPEC回帰へのギアシフトにかかわらず、ワシントンと北京の二極化の深化は、『金融活動作業部会(FATF:Financial Action Task Force)』グレーリストから抜け出すため、『国際通貨基金(IMF:International Monetary Fund)』の条件を満たすことに没頭しているイスラマバードにさらなる困難をもたらすだろう。米国からの約束された外国直接投資(FDI)や貿易上の先行き見通しは、中国から容易に調達可能なインフラストラクチャー資金を代替するものでも、その反対でもない。つまりパキスタンは両者の間でバランス外交をとらねばならないと言うことだ。しかし、さらに重要なことは、将来のCPECプロジェクトの条件を交渉し、理想的には、政府保証を必要としない、管理可能な返済オプションを確保すること。さもなければ、政府はすぐに抜き差しならない苦境に立たされるだろう。
【ニュースソース】
CPEC and the US-China tug of war
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