【ニューデリー】騒々しく、また持続的で刺々しい挑戦が控えているにしろ、先週の大阪におけるG20会議の間に実現したナレンドラ・モディ首相とドナルド・トランプ大統領の会談を契機にインドと米国の二国間関係には、明らかにポジティブな動向が生じた。
両首脳は、政策の相違を克服することを確認し、部下に以下の4つの主要な問題に焦点を当てるよう指示した。 1)二国間貿易紛争、2)インドのロシアとの国防協力(S-400ミサイル防衛システムを購入するというニューデリーの計画を示唆)、3)イランからの石油輸入、4)5Gテクノロジー(具体的には中国ファーウェイ社製通信機器を購入するインドの立場)。しかしながら、この野心的交渉の成果をこれらの4つの課題上において合意にまとめ上げることは容易ではないだろう。
インドの最大の課題は、実際に取引を成立させること。ニューデリーの交渉担当者は、非常にタフであると同時に柔軟性がないことで有名だが、ワシントンとのより深くより幅広い協力関係に対するモディ首相の強力な個人的コミットメントが彼等を妥協に導く刺激になるだろう。ニューデリーに関して知る限り、首相の新しい交渉チームは、伝統的なゴースロー・スタイルから脱却して契約を結ぶ責任と権限の双方を付与されているようだ。これはインドのポイント・ネゴシエーター、スブラマニヤム・ジャイ・シャンカル新外相にとってかなりの重圧になりそうだ。彼はワシントンに関するユニークな洞察力と幅広い連絡網を保持する元駐米大使。
米国側の最大の障害は、支離滅裂な政策決定プロセス、上級レベルのインド専門家の欠如、そして二国間関係に関するチャンピオンの不在だ。双方向の積極的交流の軌道を維持するための挑戦を複雑にしているのは、早期に二国間の紛争案件に関する包括的な合意が実現しない限り、米国通商代表部は、ホワイトハウスの承認を得た上で、インドの不公正貿易慣行に対する『通商法第301条』に基づく査察を開始できること。これはトランプが中国の輸入品に前例のない関税を課したのと同じ自由裁量メカニズムで、米国市場向けのインドの商品に対しても同じことができる。
大阪以降、時計の音量はそれほど大きくないが、数ヶ月内に決着すべき、ものによっては数年前に決着されて然るべきだったやっかいな二国間問題の動きを刻み続けている。今やインドと米国の交渉担当者には、先週彼らの指導者が示したのと同じ責任、成熟度、そして柔軟性を発揮することが求められている。
筆者(Mr. David M. Sloan)は、スカークロフト・グループの南アジア・スペシャリスト。
○5G技術開発では他国との提携が不可欠、それは中国か?
【ニューデリー】インドは5G問題で十字路に立っており、様々な選択肢に目を奪われる反面、十分な技術能力も商業設備も具わっていないため、世界的な商談に加われない状況にある。
最初にいくつか基本的誤解を明確にしておくと、5Gは、例えば2Gから4Gへの単なるスペクトルのアップグレードではない。4Gが平方キロあたり1万人に接続可能なら、5Gは300万に拡張できる。しかし、実際にはそんなに多くのアクセスを実現する必要はない。
5Gのアプリケーションは、設備を動かすシステムや機械のために存在し、輸送、ヘルスケア、ロボット工学、防衛品、電力網、その他の基本インフラに組み込まれるインテリジェント・ハードウェアの創造を可能にする。基本的に、5Gは新しいガバナンス・モデルの中核になるだろう。
今日、インドは、極めて恵まれた地政学的状況に置かれている。米中両国は,それぞれ個別に5G技術の共同開発をインド申し入れている。今こそ、未来の技術を開発するパートナーシップを築き、新しいデジタル秩序影響力を行使する一翼に列する時である。
しかし、5Gに関して中国は信頼に値するだろうか?何故なら、それは、中国技術が、新都市の、輸送システムや送電網、その他の主要インフラの岩盤を形成することを意味するからだ。『バックドア契約』ナシの協力は疑わしい。
『2016年中国サイバーセキュリティ法』および『2017年国家情報法』には、中国政府がデータを扱う中国企業によるコンプライアンスを保証することを認める条項がある。また、すべての主要中国企業には、共産党支部が組織されつつあると言う。言い換えれば、中国の商業団体は中国政府および中国共産党と一心同体である。この点は、まだ見過ごされている可能性がある。たとえば、4Gネットワークはおおむね携帯電話の使用に限定されている。しかし、5Gでそんなリスクを負うことができるだろうか。
中国の5G投資は巨額に上る。中国は5G対応システムを『一帯一路』構想の中核にしようと考えている。これは、中国 - パキスタン経済回廊(CPEC)を含む、中国主導の大陸横断道路/港湾/空港網全体を、総合的な5Gネットワークに連動させることを意味する。こうした展望の政治的影響には、インドの戦略的方向性が内在している。米国がこの点に関して中国に抱くところの安全保障上の懸念をインドが共有するのも無理からぬことである。たぶんそれだけではないだろう。なぜなら中国との間には長期にわたる未解決の国境紛争があり、さらに中国の全天候型同盟国パキスタンからは国家主導のテロ組織を通じた攻撃に晒されている。インドの脅威はよりはっきりしており、実在しているが、この点関して中国からの申し出はない。
中国の技術が有効かつ安価であることは間違いない。しかし、こと5Gに関しては、商業的問題にとどまらないことをわきまえる必要がある。宇宙開発や原子力同様、5Gはまず第一に政治的課題である。そして、おそらく、ナレンドラ・モディ首相が彼の第二期目の最も早い時期に取り組まねばならない最重要課題の一つと言える。
○米国、パキスタンを完全に除外した新インド太平洋地域戦略提起
【ワシントン】南アジアにおける中国とロシアの予想される影響力拡大に対抗する努力の一環として、米国は、パキスタンを完全に除外して域内の異なる国々との経済的・軍事的関係を強化する新戦略を打ち出した。
発表された長文の戦略報告書は、戦略目標を達成し、地域全体のより動的で分散されたプレゼンスおよびアクセス拠点を確保するための新たな同盟国およびパートナーとして、南アジア5カ国を特定している。
国防総省が発表した同報告書は「南アジアでは、スリランカ、モルディブ、バングラデシュ、ネパールとの新たなパートナーシップを構築するかたわら、インドとの主要な国防強力体制の実戦的運用に取り組んでいる」と述べている。
『インド太平洋戦略報告:備えとパートナーシップ、そして地域ネットワーク化の推進』と題する同レポートは、インド太平洋地域を国防総省の優先的作戦舞台と述べ、米国は引き続き、ベトナム、インドネシア、マレーシアのような東南アジアのパートナーとの安全保障関係を強化し、ブルネイ、ラオス、そしてカンボジアとの関係維持を図ると述べている。しかし、パキスタンには触れていない。
著者(ワジド・アリ・サイド氏)は、Geo TVワシントン特派員。
○日印、モディ安倍会議に先立って初の2+2協議
【ニューデリー】インドと日本はナレンドラ・モディ首相と安倍晋三首相の今年の年次首脳会談に先立って、外相と国防相レベルの初の2+2会議を催す。
これは、新任のスブラマニヤム・ジャイシャンカル外相と河野太郎外相が6月4日に行った電話会談で決まったもの。インドは既に米国と2+2メカニズムを持っている。
両外相は、アジア太平洋地域における海上安全保障について議論した。アジア太平洋地域における航行の自由に関する議論は、日印両国が参加する、継続的多国間協議の一環として意味深い。インドと日本は共に、オーストラリアとアメリカを含む『クワッド(四カ国)』対話プロセスに参加している。
【ニュースソース】
View: Modi-Trump meet at Osaka G20 provides a road map to moving Indo-US relations forward
G-20: useful talks on the sidelines
Terms of estrangement
Ocean’s eleven
View: India has to forge partnerships in developing 5G technology. Can India risk it with China?
New US strategy excludes Pakistan
India-Japan maiden 2+2 talks ahead of Modi-Abe meeting
Tokyo seeks ‘2+2’ meeting with Foreign, Defence Ministers
India to oppose multilateral rules in e-commerce at G-20 meet in Japan
○世界は一つ:
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