【ニューデリー】デリー高裁は10月31日、ウッタルプラデシュ州の元州武装警察隊(PAC:Provincial Armed Constabulary)員16人に、1987年にウッタルプラデシュ州メーラト市ハシプラで回教徒38人を誘拐後射殺した廉で、終身刑を宣告した。
ウッタル・プラデーシュ州西部のメーラート市は1987年5月22日、アヨーディヤのバーブリー・マスジド(ムガル帝国初代皇帝バーブルが建設したモスク)事件を巡る住民同士の衝突騒乱に巻き込まれた。PACと陸軍は、PACの二丁のライフル銃が反社会組織に奪われ、PAC少佐の親族1名が殺害されたとして、ハシプラにおける捜査を開始した。老若の男性住民42-45人を検挙したPACは、陸軍41大隊C中隊所属の黄色いトラックに乗せ、連れ去ったが、警察署に連行する代わりに、ガーズィヤーバード付近の運河に連れて行った。PAC隊員は303式ライフルで射殺、遺体をギャング・ナハール運河とヒンドン川に投棄した。しかし、5人は死んだふりをして生き残り、岸に泳ぎついた。
彼等はその体験を語り、事件は彼等の証言に基づいて検証された。事件の捜査は、犯罪調査局中央支局(CB CID:Central Branch CID)に委ねられ、1996年にガーズィヤーバード刑事裁判所に訴状が提出された。そして、そ後3年間に裁判所により20以上の令状が発せられたが、結果を出すことができなかったと、高裁はその判決文の中で述べている。犠牲者の家族が捜査の進捗に満足できないと訴えたことから、事件の裁判は、最高裁の命令により、デリー裁判所に移された。その後、2006年5月に16人の被告(当初は19人だったが3人が死亡)に対する殺人、犯罪謀議、誘拐、証拠隠滅、暴動等の訴状が確定した。しかし、2015年には、裁判所は被告らが殺害に関わった証拠が遺失したとの理由で、16人のPAC隊員全員に無罪放免を決めた。同判決は被害者とその家族の挑戦を受け、裁判所は、国家人権委員会(NHRC:National Human Rights Commission)が、更なる調査を求め介入することを許可した。
こうして事件発生から31年以上を経過した2018年10月31日、高等裁判所は2015年の(無罪)判決を覆した。しかし今回の高裁判決は、最高裁でさらに争われる可能性が高い。被告人にまだ刑を逃れる機会があるかもしれず、終身刑は年齢的に無理があると判断されるかも知れない。そうなれば、犠牲者は、さらに法廷闘争を続けねばならない。さらに、PAC隊員だけが処罰され、判決はその上司には触れていないため、彼等のこの事件に対する刑事責任が問われる可能性も存在する。
【ニュースソース】
Hashimpura, where justice was served after 31 years
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