SEAnews 2018-10-29 ArtNo.46409

【ニューデリー】資金難のパキスタン政府は、救済措置に関するトランプ政権との厳しい交渉の末、中国パキスタン経済回廊(CPEC:China-Pakistan Economic Corridor)に関わる債務の詳細を国際通貨基金(IMF)と共有する用意があると発表、一か八かの賭に出たようだ。
　過去四半世紀のパキスタンの国際通貨基金(IMF)詣では、少なくとも半ダースに及んだ。現在インドネシアで開催中のIMFと世銀の年次会議に先立って、イムラン・カーン率いるパキスタン正義運動(PTI:Pakistan Tehreek-i-Insaf)党新政権の財務相は、IMFの救済措置が再び必要なことを認めている。
　パキスタン正義運動(PTI:Pakistan Tehreek-i-Insaf)党政権が7月に発足したとき、アサド・ウマル財務相は、厳しい経済政策と緊縮財政措置導入に対する政治的コンセンサスを形成し、パキスタンの不安定な経済を安定させるため、コンパクトな予算案を上程すると発表した。パキスタンのアサド・ウマル財務相は、「中国パキスタン経済回廊(CPEC:China-Pakistan Economic Corridor)に関連する債務の詳細を国際通貨基金(IMF)と共有する用意がある」とする一方、資金難に陥った同国の経済的窮状の元凶は中国資金に依存したプロジェクトにあるとする米国の見方を否定した。

○パ政府、JuD及びFIFを禁止テロ組織リストから除外：レポート

【イスラマバード】ジャマート・ウド・ダワ(JuD:Jamaat-ud-Dawa)とその関連団体ファラ・イ・インサニアット財団(FIF:Falah-I-Insaniyat Foundation)が禁止テロ組織リストから除外されたと言う報告に接し、インドは、パキスタンのテロとの戦いに対するコミットメントに疑問を呈した。
　２００８年１１月２６日のムンバイ同時多発テロ事件の首謀者とされるハーフィズ·サイード(Hafiz Saeed)の弁護団チームは、イスラマバード高等裁判所に提出した文書の中で、JuDおよびFIFを非合法組織リストに加えた２０１８年２月の大統領令は失効したと述べたが、このことは、イムラン・カーン首相率いるパキスタン新政府が同大統領令の延長手続きをとらなかったことを意味する。
　インド政府筋は、パキスタンのテロ支援にハイライトをあて、「こうした方針はテロと戦う国際義務を果たすパキスタン側の誠意の欠如を反映している」と指摘した。
　パキスタンの日刊紙ドーン(Dawn)によると、イムラン・カーン首相は、大統領令を延長することも、法律化することもしなかったという。
　こうした事態の発展は、大統領令を延長しないというパキスタンの立場が、今年初にパキスタンをマネーロンダリングのグレーリストに加えた国際『金融活動作業部会(FATF:Financial Action Task Force)』に同国が提出した報告に完全逆行していることを明白にした。
　FATFからの圧力を受けた、パキスタン政府は『１９９７年反テロリズム法』を改正する大統領令を公布し、国連安全保障理事会により禁止されたJuDとFIFを含む全ての組織を同法の適応対象に加えた。しかし、ナワズ・シャリフ前首相政権は、同改正案を５月に終了した次期国会に上程せず、その後国会は選挙のため解散された。
　政府が大統領令の国会批准に失敗したことで、国連指定のテロ組織の禁止が解除されれば、FATFにおいて一層の非難に晒されるものと予想される。また、国際金融機関や銀行がパキスタンで事業を行うことがさらに困難になり、パキスタンの企業が海外で資金を調達するのも難しくなる。
　パキスタンが１２０億米ドルの壊滅的債務危機に直面する中、IMFチームは１１月７日にイムラン・カーン政府に対面するが、FATFのさらなる非難はパキスタン経済に長期的打撃を与えることになりそうだ。

【ニュースソース】

Pakistan to share CPEC debt details with IMF

The limits of Chinese cash

IMF loan may come with a political cost for Pakistan PM Imran Khan

Pakistan ready to share details of CPEC debts with IMF: Asad Umar

Pakistan ban on Hafiz Saeed-led JuD lapses

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