【ニューデリー】インド政府は、銀行危機に対処する良いアイデアを捨て、悪いものを奨励しようとしているようだ。ストレス資産をバランスシートから取り除く資産管理会社として所謂バッド・バンクを創設しようと言う最近の提案は、インド国営銀行の預金残高の3分の2以上を占める不良貸し付け問題を処理する上で最悪と言える。
この計画は、国営銀行の長で構成される委員会により提案された。新会社のオーナーシップは銀行と個人投資家によりシェアされる。この代替投資ファンドを創設するために民間部門のさまざまな資本プールから少なくとも1兆ルピー、約145億米ドルを調達する必要がある。なぜそんな多額の資金が必要かと言えば、新会社は誰も望まないストレスのかかった資産のマーケットメーカーを務め、合意されたフロア価格の15%を負担せねばならないからだ。
より重要なことは、時あたかもインドがやっとまともな破産法を制定したこの時期に、少なからぬ民間資産管理会社が蠢動していること。問題は彼らが十分な資金を保持していないということではない。売却可能な良質なストレス資産が存在しないことだ。
バッド・バンクが手がける最も厄介な不良債権は、一部門、即ち電力部門に集中している。取り分けインドの火力発電所は悪戦苦闘している。今年初め、国会小委員会は、3万4000メガワットの設備が問題に直面していると推定した。これらのプラントは、電力を購入するものがなく不採算に陥っているか、助成金付き石炭へのアクセス権を持っていない。
業界団体は、過去5年間の火力発電所建設ブームに追加されたものを全て含めるなら実数は5万メガワット近いと見ており、さらに大きいと見積もるものもある。これは、インドの総発電容量のかなりの部分に相当し、その額はおそらく4兆ルピーと見積もられ、銀行業界のバランスシートの大きな部分を占めている。
インドにおける再生可能エネルギーのコストは見たところゾンビ火力発電所に比肩し、新プラントは政府の補助金や官僚たちが望まぬ優遇措置を必要としている。さらに、地方の電力会社は、支払い能力のないエンドユーザーに奉仕する上から、慢性的赤字に直面している。
とは言え今後数十年、石炭が発電の基盤を成すインドのような国でさえも、また再生可能エネルギーが基礎電力源として依然として信頼性に欠けるとしても、低炭素経済への移行は現実のものになっている。こうした移行が実際に起こっていることを考えれば、世界の政策立案者は、炭素ベースの資産が金融業の時限爆弾であることを理解する必要がある。インドでは、それが銀行部門を直撃する魚雷になる恐れがあり。 インド以外の地域においても、それは金融部門の安定に対する重大な脅威になるだろう。政策立案当局は、世界的な気候変動との戦いの波及効果を真剣に検討し、対策を講じるべき時を迎えている。
○オリエンタル銀行、再編企業株売却アドバイザー募集
【ニューデリー】オリエンタル商業銀行(OBC:Oriental Bank of Commerce)は、再編パッケージに基づき同行に割り当てられた上場/非上場企業30-40社の株式を流動化するため、これら企業の持ち分を評価し、企業ごとに売却のフィジビリティーを調査するアドバイザーを指名する計画だ。
公共部門の同行は、中央銀行Reserve Bank of India(RBI)のガイドラインに基づき、2018会計年度に、戦略的債務再編(SDR:Strategic Debt Restructuring)に着手、債権の株式への転換を通じ、Chennai Network Infrastructure Ltd (CNIL)、GTL Infrastructure Ltd、Supreme Ahmednagar Karmala Tembhumi Tollways Pvt Ltd、Ballarpur Industries Ltd、Athena Chhattisgarh Power Ltd、Aman Hospitality Private Ltd等の株式を取得した。
OBCは、マーチャント銀行、破産処理専門会社、資産再編会社、金融コンサルタント会社らに、持ち分売却の助言に関する入札を求めた。
中央銀行RBIが2018年2月12日にストレス資産の処分に関する修正フレームワークを施行したのに伴い、SDRを含むストレス資産処分に関する従来の指針は、全て取り消された。
【ニュースソース】
'Zombie' power plants: A financial time-bomb that may torpedo Indian banks
What this banking crisis really is, and how govt has missed what matters most
Oriental Bank invites i-bankers to sell shares acquired through SDR
○世界は一つ: