1996-01-18 ArtNo.4631
◆<星>国策会社ST、マイクロ・ポリスのHDD業務買収
【シンガポール】政府系企業シンガポール・テクノロジーズは、大手多国籍電子企業との競争に勝ち米国企業マイクロポリス・コープのディスク・ドライブ(HDD)ビジネスの買収に成功したようだ。
マイクロポリスは先週、関係方面とそのHDDビジネスを売却する原則的合意に達したと発表した。買い手は明らかにされていないが、コナー・パリファラルズの元上級副社長で現在ST社傘下のチャータード・セミコンダクター・マニュファクチュアリングの上級職を務めるジョー・チェン氏に率いられる某STグループ企業がバイヤーと見られている。ディスク・ドライブ業界に流布された同憶測は、米国方面の極めて信頼のおける筋によっても確認された。しかし、チェン氏もマイクロポリスのレイリー・スマート重役(CEO)もコメントを避けている。ヒュンダイ、サムスン、富士通、JTS、ウェスタン・デジタル等がマイクロ・ポリスのHDDビジネス買収に触手を動かしたようだが、今回の買収戦の勝者は新たなHDD企業が再度韓国企業の手に落ちるのを回避するため、迅速な動きを見せたとアナリストは指摘する。同アナリストによれば、シンガポールは長期にわたって占めてきたHDD市場の王座をアジアの隣国に奪われることを恐れていると言う。
一時はハイエンドHDD市場のリーダーだったマイクロポリスは1993年第3四半期以来累積1億1100万米ドルの損失を出し、最近はカリフォルニア本社の人員整理を行っていた。同社はその社名も含め全てのHDD業務を売却、コンピューター・システム・ビジネスに専心するもようだ。マイクロポリスはタイとシンガポールに工場を設けており、シンガポールではスラグーン・ノースに5500万Sドルを投じて建設した新工場が4月に稼働する。同社はこれまでにシンガポールに2億3000万Sドルの投資を約束している。米国の市場調査会社トレンドフォーカスのマーク・ギーネン重役(MD)は、米国HDDメーカーの間に、これまで奨励措置を設けてHDDメーカーの誘致を図ってきたシンガポール政府が、今後はこれらの企業のライバルになるとの懸念が生じる恐れがあると指摘した。(BT:1/17)
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