【ニューデリー】デジタル化、自動化、人工知能の進歩が労働環境を大幅に変えるのに伴い、全世界の労働人口のほぼ14%、3億7500万人が2030年までに職の転換を強いられそうだ。マッキンゼー・グローバルインスティチュートの『職の喪失と職の創出:自動化時代の労働力の遷移』レポートは、以上のように警鐘している。
プライス・ウォーターハウス・クーパース(PwC)の『グローバル・デジタル・オペレーションズ2018サーベイ』は、「『インダストリー3.0』は機械と工程の自動化のみを対象にしているが、『インダストリー4.0』は、バリューチェーンにおけるエンドツーエンドのデジタル化とデータ統合を包含している」と説明している。
世界経済フォーラム(WEF)は、世界的なスキル・ギャップの挑戦と自動化及び第4次産業革命に伴う職の喪失に対応するため、最近IT産業スキルズイニシアティブを開始した。同イニシアチブは、WEFがスポンサーを務める『SkillSETポータル』を通じ、2021年1月までに100万人にリソースと訓練の機会を提供することを約束している。この取り組みには、アクセンチュア、CAテクノロジーズ、シスコ、コグニザント、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、インフォシス、ぺガシステムズ、PwC、セールスフォース、SAP、タタ・コンサルタンシー・サービシズ等がパートナーとして参加している。
米国労働統計局は、現在から2016年までに140万の職位に混乱が生じ、その内の57%が女性で占められると予想している。
○再起動か、解雇か:400万インドIT労働者が直面する現実
【ニューデリー】インドの400万IT労働者は、生き残るために、今すぐ新技術、中でも人工知能(AI)、機械学習(machine learning)、ブロックチェーンを習得する必要がある。 ....以下は、ベンカテッシュ・ガネーシュ/K.V.クルマナート両記者の現状報告。
西ベンガル州シリグリのIT従業員、スディール・チャタジー氏(38)は、ペットスポーツ(ぬいぐるみ)を拾い上げ、彼のキャリアと人生の重要な転換点について語った。
チャタジー氏は、カルナタカ州のRVカレッジ・オブ・エンジニアリングのコンピュータ科学課を卒業後、2006年にHCLテクノロジー社に就職した。アウトソーシング・ブームがピークに達していた頃で、彼は、数十億ドルの米国銀行のITアプリケーションを管理するテスターの職を任された。年が経つにつれ、彼は大規模なチームを管理、仕事の内容も変わり、地位も上がり、バンガロールの郊外に別荘も購入した。その後で、ノックアウトパンチを食らった。チャタジー氏は、勤務成績不良と見なされ、退職するよう求められた。
十数年の経験を積んだ彼は、当初、どこにでも就職するができると思ったが、厳しい現実に愕然とした。1年ほどの間、彼はどんな組織のマトリックスにもフィットしない自分を見い出し、苦悩した。彼は、当初リスキリング(スキルの再構築)という考えに抵抗した。 それはイチかバチかの賭だった。2017年のイースターの頃、彼はジェッキングト・ラーニングセンターに入校、アジャイル(最新のソフト開発手法の一つ)&DevOps(ソフトウェアの開発と運用)の学習を始めたた。「それは正にレザレクション(復活)だった」と彼は回想する。
今年3月までに、バンガロールの有力な欧州系アウトソーシング企業に就職した彼は、給与は40%減少したものの、自身のキャリアが再び軌道に乗ったことに満足している。彼は目下DevOps関連のプロジェクトを手がけている。
○インド雇用市場の未来:適正スキルは30%のみ
【ニューデリー】ロンドン拠点の会計会社アーンスト・アンド・ヤング(EY)が『インド商工会議所連盟(FICCI:Federation of Indian Chambers of Commerce and Industry)』と『ソフトウェア・サービス会社全国協会(NASSCOM:National Association of Software and Service Companies)』の委託を受けて作成した『インド雇用市場の未来(Future of Jobs in India)』報告書は、『情報技術・ビジネスプロセス管理(IT-BPM)』部門の400万人就業者の内60-65%だけが、スキルセットが劇的変化した職場で再雇用されると指摘している。この比率を他業種と比較して見ると、銀行/金融サービス/保険(BFSI:banking, financial services and insurance)部門は55-60%、自動車部門は50-55%と続く。
情報技術(IT)は、各業種を通じて用いられているため、こうした職場崩壊の震源になっている。ITサービス企業は伝統的なITサービス部門で訓練されたエンジニアを雇用しているが、現実の市場の要求は、アナリティクス、人工知能(AI)、データサイエンス、ブロックチェーン、モノのインターネット(Internet of Things)などさまざまなスキルセットを必要とするデジタル・プロジェクトに傾斜しており、世界的に益々多くのビジネスが、これまで手作業で処理していた作業工程を完全にコンピュータ化しつつある。このため産業界は、どこもかしこも声をそろえてリスキリングを唱道している。米系ITコンサルタント会社ガートナーのDDミシュラ調査主任は、「目下進行中の自動化に伴うアウトソーシング会社の人員整理は、最終的に僅か30%のワークフォースのみが就業を続けると言うシナリオに到達するだろう」とコメントした。
【ニュースソース】
Ready for Industry 4.0?
Global Digital Operations 2018 Survey
Reboot,or get the boot
By 2022, 37% of Indian workforce would be employed in new job roles: FICCI-NASSCOM & EY- Future of Jobs- report
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