もちろん、トリフィン・ジレンマは回避でき、国際金融システムに対するアメリカの過剰な影響力は軽減できる。必要なのは、一国の機関から発行されたものではない主要な準備通貨の存在だ。
国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)は、より良い選択肢と言え、改定された新IMF協定は、世界の主要な準備資産になるべきだと主張している。とは言え、SDRは主要な国際準備通貨としての役割を果たすには十分広く使われていない。SDRの主要なハードルは、地域的利害であり、準備通貨発行元の中央銀行(米国のみならず、EU、中国、日本そして英国)の優先権である。しかし、クリプトカレンシー(cryptocurrencies)の出現により別の方法が提供されるかもしれない。民間部門は、口座や価値貯蔵の単位として利用可能なデジタルSDRの創出面で、中央銀行と直接協力することができる。このような『e-SDR』は、ある意味で、典型的準備資産になり得る。なぜなら、IMFが決めたレートで準備通貨によって完全に裏付けされるからだ。
この種の計画に参加する中央銀行と資産運用業者は、それぞれ手持ちの準備通貨をe-SDRとスワップせねばならない。長期的には、資産をより流動化するための特別なスワップ施設の創設を通じて、ロンドンや香港などの国際金融センターは、ブロックチェーン技術を用いたe-SDRの実験を先導できる。
もう一つ不可欠なのは、e-SDR建て債券市場の創設だ。これは準備金発行国間の紛争に巻き込まれたくない国には魅力的なものになるだろう。e-SDR建て市場は、米ドル以外のすべての準備通貨にとって良いものになるだろう。なぜなら資産価値で測られるこれら準備通貨の比重は、外為市場における占有率を上回るからである。長期的には、e-SDRのプレゼンスの拡大は、米国に支出抑制を強いる追加圧力になる可能性がある。クリプトカレンシーの出現は、真に中立的な準備資産への移行を先導する市場動向にとって独特の機会を創出して来た。米国のリーダーシップが未だかつて無い予測不能な状態に陥っていることから、それは逃してはならないチャンスと言える。
この記事はアンドリュー・シェン(瀋聯涛)氏とシアオ・ゲン(肖耿)氏の共著。アンドリュー・シェン氏は、香港大学アジアグローバル研究所の著名な研究員で、国連環境計画持続可能財政諮問委員会メンバー。香港国際金融学会有限会社社長のシアオ・ゲン氏は香港大学教授。
○政府、トップテック企業とサイバー・セーフ・インディア・イニシアチブに着手
【ニューデリー】政府部門間のサイバー・セキュリティ対策と認識を強化する狙いから、電子・情報技術省は、IT業界のメジャーと協力してサイバー・スラクシット・バーラット(Cyber Safe India)イニシアチブを開始した。
このイニシアチブの目的の一つは、チーフ情報セキュリティ・オフィサー(CISO)とすべての政府部門のITスタッフのサイバー犯罪に対する認識を高め、セキュリティー能力を向上させること。
この種のものとしては初の官民パートナーシップとなるコンソーシアムの設立パートナーには、指導的IT企業のMicrosoft、Intel、WIPRONSE、Redhat、Dimension Dataが名を連ねている。
この他、サイバー・スラクシット・バーラット・イニシアチブのナレッジ・パートナーには、Cert-In、NIC、NASSCOM、FIDO Alliance、CISCO等の組織やDeloitteやEY等のコンサルティング会社も参加している。
K.J.アルフォンス電子・情報技術・観光担当名誉国務大臣(専管)によると、60余の省庁、銀行230行、その他の金融機関45社を含むインド国内の多くの組織がCISOを専任していると言う。
○政府、6フォーミュラでデジタル支払い促進
【ニューデリー】政府はデジタル取引促進計画の一環として、公共機関全部門のキャッシャー・カウンターにおいて、Bhim-UPI QRコードなどの電子決済オプションを利用できるようにするよう求めた。
政府筋によると、電子・情報技術省のアジャイ・プラカシュ・ソーニー次官は、『公務員の日』の非公開会議の席上、官僚らに、「大半の商店や通行料金を支払う者をデジタル・プラットフォームに導くには、なお多くの研究すべき領域が存在する」と指摘した。
この目的を達成するために彼が提案した6ポイント・フォーミュラには、全ての政府部門のキャッシャー・カウンターにデジタル支払いを可能にするBhim-UPI QRコードを表示することや顧客の携帯電話に『統一支払いインターフェイス(UPI:United Payments Interface)』を通じた支払いを可能にするインデントを送信するシステムを構築することが含まれる。
Bhim(Bharat Interface for Money)は、UPIを通じたデジタル支払いを可能にするために、インド国内の小売り支払いシステムを統括するアンブレラ企業『インド全国支払い公社(NPCI:National Payments Corporation of India)』が開発したモバイル・アプリケーション。
ソーニー次官によると、インドには6000万近い商店が存在するが、わずか310万台のPOS(point-of-sale)端末が存在するに過ぎない。『FASTag』による通行料の支払が呼びかけられているが、『FASTag』を通じた支払いは、インド全国幹線道路局(NHAI:National Highways Authority of India)が徴収した通行料の20%を占めるに過ぎないと言う。
【ニュースソース】
From dollar to e-SDR
Govt launches Cyber Surakshit Bharat initiative in partnership with top tech companies
Government moots 6-point formula to boost digital payments
○世界は一つ:
The aim of SEAnews
◆『Ad-SEAnews広告勧誘員』募集
ご意見/配信停止
SEAnews Twitter
SEAnews Messenger
SEAnewsFacebook
SEAnewsGoogle
SEAnews eBookstore
SEAnews eBookstore(GoogleJ)
SEAnews world circulation