【北京】インドと中国の近代史の特徴は、機会を逸し、スタートを誤ったこと。1950年代には、二人の強力な指導者、インドのジャワハルラル・ネール首相と中国共産党の毛沢東主席に率いられる両国が、兄弟の契りを結び、アジアを再定義することを誓い合った。夢想家たちは、インドと中国が全世界の開発途上国の先頭に立ちポスト・コロニアル・ルネサンスを実現すると言う夢にかけた。しかし、信じがたい1962年の中印戦争の勃発により、期待は完全に打ち砕かれた。
重なり合った国境線を巡る紛争がそれ以来、両国の親善関係の完全な修復を阻んでいる。中国の習近平国家主席の2014年の野心的な訪印は、ラダック地区チュマールにおける中印両軍の対峙により台無しにされた。2015年のナレンドラ・モデイ首相訪中も、2年後にドクラムにおける両軍の対峙がほとんど衝突寸前状況に立ち至ったことにより、同様の軌跡を辿った。
しかし、両首脳の去る4月末の武漢市における会合は、ドナルド・トランプ米国大統領が印中の方程式に横槍を入れたにも関わらず、もっと実りあるものになる可能性がある。とは言えニューデリーと北京の関係構築の過程は、地政学により大きく左右される。中国は、トランプ政権との間にうん醸しているいわゆる貿易戦争が、中国の台頭を妨げるワシントンの長期キャンペーンの始まりではないかと懸念している。中国は、太平洋を横切って吹き荒れているこうした逆風に対抗するためインドの支援を緊急に必要としていることを率直に認めている。
おそらく、中国は、インドをトランプのアメリカ第一主義に対する汎アジア大攻勢の盟友と見なしているのだろう。北京はまた、アジアを新たなグローバル化の枢軸にするため、日本、韓国、ASEANと再交渉している。武漢首脳会談後、中国の李克強総理は、中日韓三国首脳会議に参加するため東京を訪問した。日本、韓国、中国は、三国のみならずインド、オーストラリア、ニュージーランドを含む他の主要な経済体にASEANも取り込んだ自由貿易圏、すなわち包括的な地域経済協力体制の構築を目指している。
武漢精神の維持に習主席を駆り立てる国内的、国際的な他の要因が存在する。習主席は中国共産党第19回総会において、『人類共通の未来共同体』という新時代のドクトリンを提起した。インドのような大国が仲間に加わるなら、習主席が提唱するユーラシアに錨を下ろしたポスト・アメリカ国際秩序構想の一大広告になるだろう。他方、モディ首相も、習主席を大きな夢を実現するパートナーと見なしているようだ。
筆者アトゥル・アネジャ氏はザ・ヒンドゥー紙の中国特派員。
○ファンド・マネージャーは、一帯一路より高収益のインドに注目
【シドニー】去る5月16日、シドニーで開かれたブルームバーグ・インベストメント・オーストラリア・サミットの席上、アジアの複数の大規模インフラ投資家は、インドには多くの機会が存在するが、中国の巨大な一帯一路計画は、それほどでもないと見方を示した。
マッコーリー・インフラストラクチャー&リアル・アセッツのアジア太平洋地域共同責任者フランク・クォック氏は同サミットの席上、「堅調な経済成長や政府の資産売却のおかげで、マッコーリー・グループにとってインドは重要な市場になっている。しかし、中国の一帯一路は、投資回収率よりも地政学的要因に大きく左右される。」と語った。
モルガン・スタンレーによると、2013年に最初に提案され、今や中国共産党綱領に盛り込まれ習主席のビジョンは、今後10年間に鉄道、道路、港湾、電力網に1兆2000億米ドルを投じることを目指している。その目的は、たとえそれが複数の紛争地域や世界で最も腐敗した国々を経由するルートであったにしても、国内企業に新たなビジネス機会をもたらし、中国の影響力を拡大することにある。
しかし、カナダ第二の年金基金管理会社ケベック州投資信託銀行(Caisse de Depot et Placement du Quebec)のアジア太平洋インフラストラクチャー取引責任、のシリル・カバネス氏は、「インドにはまた独自の課題がある。機会が存在するのは明らかだが、実際の取引は遅々として進まない」と指摘した。
【ニュースソース】
Wuhan’s promise
Look to India for returns, not China's Belt-and-Road, funds say
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