【ニューデリー】シダラマイア首席大臣に率いられるカルナタカ州の国民会議派(INC:Indian National Congress)政府は、新しい州旗を導入するとともに中央政府に正式に承認するよう求めた。
シダラマイア首席大臣は、中央政府が彼の要求を受け入れるか否かに関わらず、中央政府の与党インド人民党(BJP:Bharatiya Janata Party)を犠牲にして、選挙の配当を手に入れることができる。彼はヒンドゥー教リンガーヤタ派に別個の宗教としての地位を与えた祭も、明らかに同じ論理を用いた。
○見過ごせない象徴性
これらの事案の象徴性を見逃さないよう注意する必要がある。中央政府の認可が得られれば、カルナタカ州はジャム&カシミール州に続き、独自の州旗を有する第二の州になる。インドが脆弱な体制であることを自覚する人々にとっては、身の毛もよだつ展望と言える。
興味深いことに、BJPと国民会議派は、サブナショナリズム(部族主義)、文化的自治、言語や生活様式に対する愛着等の主張に懐疑的な点で一致している。共通点がほとんどないこと自体を誇りにする多文化国家であることこそがインドの強みと見なすなら、より冷静なアプローチが可能になるだろう。
シダラマイア首席大臣は、長文のフェイスブックの投稿において『アンカーズ・イン・デリー・スタジオ』に、「カナンダ語を優先し、生活の場におけるより大きな自己主張を可能にするために、独自の州旗を持つと言うカルナタカ州民の願いは、強力な国家を築く目標に矛盾しているのだろうか」と問いかけた。実際のところ、『アンカーズ・イン・デリー・スタジオ』とは、昨年、州旗を持つと言う彼の試みに遺憾を表明した国民会議派の統制に対する揶揄と見られる。
州旗の問題はカルナータカ州における選挙政治の一部と見なされているが、それはまたインドの2つの大きな潮流を象徴している。先ず第一に、全体への協調性がますます声高に問われる中で、非ヒンドゥー州では広範な憤懣が噴出している。第二に、単なる後部座席の同乗者の扱いを受ける州と中央の歪んだ関係に対する不満が存在する。こうした不満は、すべての州に共通しているが、とりわけ全国政党が政権を握っている州では、党規約により猿ぐつわがかまされ、自由な言論が制限されている。
故ラーマクリシュナ・ヘグデ門下のシダラマイア首席大臣は、上記の二つの問題を彼の選挙綱領に盛り込んだ。彼は選挙戦に勝つかも知れず、勝たないかも知れないが、少なくとも問題を主要議題に載せることに成功している。
○バッククラッシュ
国全体にスチームローラをかけて単一言語のモノカルチャーを構築するなどと言う幻想が、バッククラッシュを引き起こすのは当然だ。アイデンティティ・ポリティクスは、選挙前夜のカルナタカ州だけでなく、文化的自立志向が最も強いタミールナド州は言うに及ばず、テレンガナ州や西ベンガル州等、非ヒンドゥー州に広範に顕在化している。
メガラヤ州のガンガ・プラサド知事は、最近、同州議会においてヒンディー語で演説し、複数の州議会議員のアンチ・ヒンディー・コメントに直面する事態を招いた。プラサド知事は、ヒンディー語に対する彼の愛着と、彼を理解できない議員達の感情を害する事に対する無思慮な発言の間の機微に気づかなかった。
テランガナ州と西ベンガル州の新しいエンブレムに関して言えば、前者は英語、テルグ語、ウルドゥー語を使用、後者はベンガル語と英語だけで、共に、インドのシンボル『獅子の柱頭(Lion Capital)』と、デーヴァナーガリー文字で『真実のみが勝利する(Satyameva Jayate)』と言う聖句がグラフィック化されてあしらわれており、ヒンディー語を他の言語と共に用いる各州の初期の慣行から明らかに逸脱している。
同様に、カルナタカの新しい州旗(黄、白、赤)には、中央に同州のエンブレムが配置されている。カルナタカ州のエンブレムにも、元々デーヴァナーガリー文字で『真実のみが勝利する(Satyameva Jayate)』と言う聖句が掲げられていたが、新州旗に同聖句が維持されるかどうかは不明だ。
そこで質問だ:なぜ非ヒンドゥー州は、州の図像や象徴にヒンディー語を用いることに抵抗しながら、英語を用いることに慙愧を抱かないのか。
全土が、2019年夏の国会総選挙を剣が峰とする選挙シーズンに突入する中で、インドは、個人のアイデンティティーと自治と言う有り触れた問題が、個人と地域の関係に楔を打ち込むリスクに直面している。
ひと世代前には、BJPでも国民会議派でもない、諸政党は、ヒンドゥートゥヴァ・ジャガーノートの餌食になるのを回避するためマンダル政治(Mandal politics:ジャナタ政権時代にB.P. Mandal氏が発案した後進階級への雇用割り当て制度を起源とする)に頼った。当時、ニティシュ・クマール(ビハール州人民党統一派領袖)は、この種のパラダイムを『マンダル政治Vsカマンダル政治(大衆社会党BSPが導入した後進階級の福利向上政策)』と評し、この二つの極の間を楽々と移動して見せた。
今やインドは、その生来の主張に加えサブ・ナショナリズムや南北分断を選挙スローガンに掲げるヒンドゥートゥヴァ(ヒンドゥー原理主義)のより危険な極に向かいつつあるようだ。<以下省略>
筆者D.シャーマム・バブ氏は、『ニューデリー政策研究センター』のシニア・フェロー。ザ・ヒンドゥー紙の上記コラムは個人的見解と言う。
○K州政府、リンガーヤタ派をヒンドゥー教とは異なる宗教と認定
【トゥムクル】シッダガンガ修道院(Siddaganga mutt)のシディリンガ・スワミ権尊師(junior seer)は、カルナタカ州政府がリンガーヤトをヒンドゥー教とは異なる宗教と認定し、中央政府にも同様の措置をとるよう提案したことを歓迎した。
カルナタカ州政府のMBパティル水資源相は3月28日、同修道院を訪問後記者会見し、二人の予言者に次に取るべきステップを尋ねたと語った。シヴァクマラ・スワミジ大尊師(senior seer)とスワミ権尊師に祝福を請うとともに、両尊師と約20分会談した同相は、「カルナタカ州政府は、両尊師の指示に従って行動する」と付言した。
インド人民党(BJP)のアミット・シャー全国総裁のコメントに触れ、パティル水資源相は、「彼(シャー総裁)は、ジャイナ教団に所属しており、ジャイナ教が独立した宗教として認定されるよう奮闘した。その結果、ジャイナ教は今や独立した宗教としての地位を得ている。当時、そのことに反対しなかった彼が、リンガーヤトが同様のステータスを得ることに反対している。ジャイナ教に対する正義とリンガーヤトに対する正義が異なると言うのだろうか」と反問した。
【ニュースソース】
Birth pangs of a new federal polity
State flag may be a tricolour with Karnataka emblem on white
Separate religion tag for Lingayats: M B Patil visits Siddaganga seers for guidance on next steps
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