【ニューデリー】彼等は、(都合のいいことに)初めにその声を失い、その後、奇跡的にそれを取り戻した。そして今やインド経済界の賢者らは再び語り始めたが、投資家が耳にするものは、不一致のみ。ニューデリー拠点の財務省とムンバイ拠点の中央銀行の論争の最大の犠牲者はインド企業だ。
政策立案者が資本コストをどのレベルにするかを明確にしない中で、収益性を測りかねることから、高額の負債を負うた企業は、棚上げして来たプロジェクトを再開するか、あるいは、新しいプロジェクトに乗り出すか決めかねている。
官僚たちの論争の起源は、昨年11月8日のデモナタイゼーション(demonetisation:旧紙幣廃止措置)に他ならない。500ルピーと1000ルピー札の廃止により、キャッシュ依存の経済から流通する通貨の86%が引き上げられた。
同措置はまた、役人らに、奇妙な経済措置に疑念を生じさせるような言動慎むよう用心させた。昨年12月の深刻なキャッシュ・クランチの最中、インド準備銀行(RBI:Reserve Bank of India)が、政策金利を4分の1パーセンテージ・ポイントも引き下げようとしなかったことに、市場を飛び交うアブどもは仰天した。しかしニューデリーのアービンド・スブラマニアン政府主任経済顧問(CEA:chief economic advisor)は、当時、行動しないのは天啓と評した。そして先週、中央銀行が、現状維持を決めると、同じオフィシャルが大声で「国内経済は昨年7月以来減速している」とがなり立て、通貨政策大幅緩和の正当性が確認された。なぜならインフレも考慮した金利水準は高過ぎ、企業と銀行のバランスシートはあまりに脆弱で、投資意欲は貧血状態に陥っている。