【ニューデリー/イスラマバード】国際司法裁判所(ICJ:International Court of Justice)は、5月9日、パキスタン軍事法廷によりスパイ罪で死刑を判決されたインド国籍のクルブシャン・ジャダフの執行猶予を求めた。
公式筋によると、同裁定は、インド政府がハーグ拠点のICJに、パキスタンの『戦地軍事法廷(FGCM:Field General Court Martial)』が先月ジャダフに対して下した死刑判決に対する異議を申し立てた翌日下された。
インドはICJに対する訴えの中で、「パキスタンの措置は、言語道断な『ウィーン領事関係条約(Vienna Convention on Consular Relations)』違反であり、パキスタンは、2016年3月3日にバロチスタンでジャダフを逮捕したと主張しているが、実際には、ジャダフはインド海軍除隊後商用で滞在していたイランから拉致されたものである」と述べている。
パキスタン軍は5月10日、ジャダフの死刑判決に関するICJの勧告には適切に回答するとの談話を発表した。
記者会見したパキスタン陸軍スポークスマンのアシフ・ガフアール少将は、「ジャダフは法的手続きに従って軍事法廷で死刑を判決された。もしICJがパキスタンに対し、ジャダフに関して何らかの要求を行うなら、パキスタン政府は適切に回答する」と語った。 ○インド海軍元士官に対する死刑判決で印パ関係再び緊張
【ニューデリー】パキスタン当局がインドのクルブシャン・ジャダフ元海軍士官(46)に対しスパイ行為と破壊活動(sabotage)の罪で死刑を宣告したことから両国間の緊張が再び最高潮に達している。
パキスタン軍広報部門インター・サービス・パブリック・リレーションズ(ISPR:Inter Services Public Relations)は、「スパイは『戦地軍事法廷(FGCM:Field General Court Martial)』において『パキスタン軍隊法(PAA:Pakistan Army Act)』に基づき死刑が判決された」と発表した。
これに伴いインドは、水曜(12-04-2017)に釈放されるはずだった1ダース余りのパキスタン人収監者の釈放を直ちに停止した。加えて、S.ジャイシャンカー外務次官はパキスタンのアブドル・バシット高等弁務官を召喚し厳重抗議した。ジャイシャンカー次官はバシット高等弁務官に、インドはジャダフの絞首刑は謀殺と見なすと伝えた。
インド外務省の発表によると、昨年イランで拉致されたジャダフが、その後パキスタンに出現したことに関する信用に値する説明は何らなされていない。インド政府はイスラマバード駐在高等弁務官を通じ、国際法に基づくジャダフとの領事面接を重ねて要求した。2016年3月25日から2017年3月31日の間に13回にわたり同要求がなされたが、パキスタン当局は同要求に応じなかったと言う。
国民会議派のランデプ・シン・スルヤワラ広報主任は、ジャダフの釈放を実現するためにナレンドラ・モディ首相に介入を求め、「インド人民党(BJP)政府は通牒を発する以上のことをすべきである」と指摘した。スルヤワラ広報主任は自身のツイッター・サイトに「インドはクルブシャン・ジャダフを釈放させるため直ちに国際的な外交攻勢を展開する必要がある」と投稿した。
【イスラマバード】パキスタンのカワジャ・アジフ国防相は4月11日、「インド国民クルブシャン・ジャダフに対するスパイ罪による死刑判決は、我が国に対して陰謀を画策する者に対する警告になるだろう」と語った。 ○モディ首相、J&Kに最低所得保障制導入の可否を近く判断
【ニューデリー】マンモハン・シン前首相と人民党統一派(JDU:Janata Dal United)の指導者シャラード・ヤダフ氏は5月10日会談し、昨年7月に武装グループのブルハーン・ワニ司令官が殺害されて以来紛争が過熱しているカシミール地方各派のコンクラーベを開催する問題を協議した。
一方、カシミール渓谷の不穏な情勢が持続する中、代表団の一員として二度にわたり同地を訪れ、分離派リーダーらと会談した閣僚経験もあるインド人民党(BJP)の長老ヤシュワント・シンハ氏もヤダフ氏と会見した。
ヤダフ氏は、インド共産党マルクス主義派(CPI-M:Communist Party of India -Marxists)幹部シタラム・イェチューリー氏およびインド共産党(CPI:Communist Party of India)幹部D.ラジャ氏ともコンクラーベ開催について協議、CPI-M/CPIの両幹部はこうした動きを歓迎したとされる。
モディ政権は、ヤシュワント・シンハ元外相に紛争渦中のカシミール地方の平和を回復するためのコンクラーベ開催に関する野党指導者らとの交渉を委ねる一方、シンハ氏を含む代表団のカシミール地方訪問や関係報道を無視する態度を示して来た。
ヤダフ氏もカシミール渓谷訪問全党代表団に参加したが、野党リーダーらの圧倒的多数意見は、「政府は同代表団の報告に何ら対応しようとしない」と言うもの。
野党指導者の一人は、「政府は紛争解決のために何一つ行動していない。われわれにも責任があり、もし政府が動かないなら、われわれ自身の手を打つ必要がある」と語った。同氏は「デリーからジャム&カシミール地方の人々にポジティブなメッセージを発信する必要がある」と強調した。 ○カシミール・コンクラーベ開催に弾み
【ニューデリー】火曜(5月9日)になされたジャム&カシミール(J&K)の現状を打開する会議を開催しようと言う非政府提案は、ファルク・アブドラ前J&K首席大臣の支持を得たことにより俄然活気づいた。
この日、ナレンドラ・モディ首相と30分会談したアブドラ前首席大臣は、インド人民党(BJP)の長老ヤシュワント・シンハ氏により提案され、人民党統一派(JDU:Janata Dal United)のシャラード・ヤダフ氏やインド共産党マルクス主義派(CPI-M:Communist Party of India -Marxists)のシタラム・イェチューリー氏を含む野党指導者らにより支持されたこの会議を、カシミールの人々と絆を結ぶ機会と見なすべきだと訴えた。
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